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京都アニメーションは埼玉県にも大きな宝物を与えてくれた (2019/8/7 前参議院議員 大野もとひろ)

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大野もとひろ 前参議院議員

大野もとひろ 前参議院議員

 こんにちは。前参議院議員の大野もとひろです。先日、埼玉県内にある鷲宮神社に伺い、先般の京都アニメーションの火災の被害者そして関係者の方へのご冥福、お見舞いのために、絵馬を奉納しました。

 2007年に放送された「らき☆すた」、まだ覚えている方もいると思いますが、アニメーションの制作を行ったのが京都アニメーションです。そして、4コマ漫画として連載されていた「らき☆すた」の作者の美水かがみ氏は埼玉県幸手市出身。作品の舞台のモデルとなり、登場するキャラクターの実家のモデルとされたのがこの鷲宮神社です。

鷲宮神社

鷲宮神社

 放送後、鷲宮は全日本級、全世界級に有名になり多くの方が訪れてくれました。ファンの方から、絵馬の奉納が今回の事件に遭った京都アニメーションへの思いの表明にもなると教えていただき、お伺いした次第です。

 京都アニメーションが復興し、世界中の人々に夢を発信することができる日がくるよう、皆様とともにその復興をお祈りさせていただきたいと思います。

絵馬

らき☆すたが埼玉県にもたらした効果

 「らき☆すた」は2007年に京都アニメーションによって、マンガがアニメ化された作品で、2008年の『このアニメがすごい!』でも1位をとった人気作品です。

 鷲宮神社は「らき☆すた」の聖地の一つとして、多くの「らき☆すた」ファンが訪れる場所として注目を浴びることになりました。放送から12年経った現在でも近隣では「らき☆すた」にちなんだPRが行われています。

らき☆すた

 「ガルパン(ガールズ&パンツァー)」の茨城県大洗町や「ゆるキャン」の山梨県身延町、「サマーウォーズ」の長野県上田市、「君の名は。」の岐阜県飛騨市、映画では「シン・ゴジラ」の東京都大田区なども有名ですが、「らき☆すた」もアニメのキャラクターをつかって地域活性化を行う、アニメの聖地巡礼の代表的な土地の一つとして取り上げられており、埼玉県内では「クレヨンしんちゃん」の春日部市、「あの花(あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。)」の秩父市、「おおきく振りかぶって」のさいたま市浦和区、「魔法先生ネギま!」の深谷駅も有名です。

 さて、以前からアニメや映画・ドラマの舞台などをめぐる「聖地巡礼」は行われていましたが、地元の地域も巻き込んで大きく注目されたケースとしては、らき☆すたは最近のアニメの聖地巡礼ムーブメントの先駆けになりました。

 聖地巡礼に訪れてくれた方は、作品のモデルとなったその土地を訪れ、雰囲気を楽しみ、写真撮影、コスプレなどに興じてくれますが、当然、その前後には付近の観光地を訪れ名産品の購入、飲食などを行ってくれます。聖地として注目されることが観光客の流入にもつながります。

 アニメの聖地巡礼は行政や観光協会、商工会などが積極的に「アニメの聖地」に因んだお土産やMAPを作成、イベントも行うなど連携した取り組みも多くなっていますが、「らき☆すた」もその例に漏れず、地元の方の多大なご理解とご協力の下、アニメの聖地としてたくさんの方に訪れていただきました。

実際、鷲宮神社の初詣(元旦~3日まで)の参拝客はアニメの放送以前(2007年)は13万人ですが2008年は30万人と3倍近くなり、2009年は42万人、以降2016年まで45万人を維持、県内では大宮氷川神社に続き、初詣参拝客数ランキングが埼玉県2位となりました。

 また、権利者である角川書店と連携してオリジナルグッズの作成、特別住民票の発行、土師祭での「らき☆すた神輿」など地元の自治体、商工会などとの連携も大きく行われ、アニメ放送以来の10年間での経済効果は約31億円とも試算されています。

 先日、京都アニメーションの火災後に行われた「八坂祭」でも、有志の方による「らき☆すた神輿」が登場し、多くのファンの方が集まってくれたそうです。12年経った今でも多くの人に愛され、そして足を運んでくれるコンテンツを世に送り出してくれた京都アニメーション、製作者、ファンの方々には感謝に堪えません。何か、恩返し、できることがないか考えていきたいと思っています。

アニメのキャラクターをつかって地域活性化

「らき☆すた」みこしでエール=京アニファン「少しでも力に」-埼玉(時事通信 7月28日)

埼玉県とアニメーション

 先ほど事例をあげたように、埼玉県を舞台にしたマンガ、アニメ作品は多くあります。では、埼玉県はどのようにかかわってきたでしょうか?県では、観光振興室が観光課に格上げされた2009年頃からアニメ担当も置かれ、かかわりを強くしてきました。

 この埼玉県の観光課が設置されたのは奇しくも「らき☆すた神輿」が完成した年です。それは、「らき☆すた」の聖地巡礼がメディアなどで取り上げられていた時期でもあり、「らき☆すた」ムーヴは埼玉県のコンテンツ・ツーリズムの中核をなし、アニメ・ツーリズム検討委員会も立ち上げられたのです。そのような流れの中で2013年から、「公益財団法人埼玉県産業文化センター」が中心になって運営される「アニ玉祭」なども開催され、今日まで来ています。

アニメーションと埼玉県の未来

 「らき☆すた」で鷲宮を初めて知り、訪れたという方もいるのではないでしょうか?アニメはその地域に少なからず影響を与えます。京都アニメーションは、埼玉県に「らき☆すた」という大きな宝物を与えてくれました。あらためて今回の事件で犠牲になられた方、被害に遭われた方にお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 マンガ・アニメは国内外を通じ、若い世代の共通言語のようになってきました。東京に近く、住みやすい埼玉県に多くの若い才能あるクリエイターの方、ファンの方に訪れてほしいと思います。そのためにも昨今話題になっているクリエイターの契約や長時間労働などの問題、自由な表現の場を確保するための創作物表現の自由の問題にも、埼玉県としてもしっかりと取り組んでいく必要があると私は考えています。

大野もとひろ 前参議院議員■大野もとひろ プロフィール
1963年埼玉県川口市生まれ。慶應義塾大学卒業後、国際大学修士課程中東地域研究を専攻。1989年より外務省の調査員・書記官として活躍。2005年より5年間、防衛省防衛戦略委員会委員。2010年、ライオンズクラブ国際協会330C地区(埼玉県)ガバナー。参議院議員(埼玉県選出)に初当選。2012年には防衛大臣政務官へ。2016年に参議院議員2期目の当選を果たす。経営者として(株)ゼネラルサービス専務取締役も務める。故郷である埼玉県を「日本一暮らしやすい埼玉へ」と発展させていくため、上田きよし埼玉県知事とも連携し、活動中。

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