「次世代議会のコミュニケーション戦略を考える」開催  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
トップ    >   記事    >   「次世代議会のコミュニケーション戦略を考える」開催

LM推進地方議員連盟 サミット2013

「次世代議会のコミュニケーション戦略を考える」開催 (2013/8/6 政治山)

会場風景

多くの参加者を集めた「次世代議会のコミュニケーション戦略を考える」

 ICTの活用といった新しいコミュニケーション戦略が議会などの地方政治にどう影響するかを議論する「次世代議会のコミュニケーション戦略を考える」が4日、5日の2日間、東京都内で開催され、首長や議員・企業担当者が議会や行政のICT導入などに関する講演やパネルディスカッションを行った。ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟の「総会」と「サミット2013」の一環として開催されたもの。議員や政治関係者を中心とする160人の来場者は、パネリストの活発な議論を熱心に耳を傾けていた。

 主催は、地方自治体や首長、議会などの先進的な活動や優れた取り組みを表彰する「マニフェスト大賞2013実行委員会」と、「政策型議員」を目指す地方議員の集まりである「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」。11月には、マニフェスト大賞2013が開催される予定だ。

◇          ◇          ◇

ICT活用で地方政治は変わるか

 イベントは2市長の発表からスタート。早稲田大学教授の北川正恭氏をコーディネーターに、千葉市の熊谷俊人市長、三重県松阪市の山中光茂市長が「新しいコミュニケーション戦略で自治と政策力を鍛える」をテーマにパネルディスカッションを行った。

熊谷俊人・千葉市長(左)と山中光茂・松坂市長が議論(右)

熊谷俊人・千葉市長(左)と山中光茂・松阪市長(右)が議論

 熊谷氏は、2013年5月に行われた市長選を通してICTを「市民が政策について考えてもらうツール」として位置づけ、Twitterを利用して市の子どもの医療費助成について市民と議論を繰り広げた事例を紹介した。「ICTの活用では、市民同士で会話が盛り上がることが重要。今、進めているオープンガバメントの取り組みでも、住民目線で面白い仕掛けを作り、行政と市民をつないで新しい価値を生み出したい」と述べた。

 一方の山中氏は、住民の声を反映し行政に届けるシステムとして「シンポジウムシステム」「住民協議会」「官民のコミュニケーション」の3つのコミュニケーションの例をあげた。「アナログに住民や民間と当たり前のコミュニケーションを行っているだけで、『改革』ではない。議員経験もあるが、市長と比べて議員は時間があると思う。議員の役割、責任として政策に関わっていってほしい」と語った。

 続いて、「スマートフォン、タブレット議会の先進事例~効果と課題を考える~」と題して千葉県流山市議会の松野豊氏、神奈川県逗子市議会議員の君島雄一郎氏が発表を行った。流山市議会では、2010年9月にスマートフォン採決を、2012年7月には議会でタブレットを導入した。また、逗子市議会では、2013年4月議会でタブレットを導入している。

 松野氏は、議会基本条例の制定を背景に、行政の見える化と市民参加促進のためのツールとして運用を始めたと報告。活用を通じて「地方議会として日々、市民の声を聞く政策マーケティングの手法で政策形成を行っていきたい」と話した。君島氏からは、1年でiPad導入まで進めた経緯や、導入に226万円がかかったことなどが報告された。どちらも情報共有、即応対応による業務効率化や印刷代の削減をメリットとしてあげている。会場からは他事使用への対応についての質問があり、君島氏は「一定の基準は作ったが、何がいいかは議員個人で考えるようにしている」とした。

新しいコミュニケーション手法 ~自治体職員の発表

事例紹介をする武雄市の山田氏(左)、芽室町の西科氏(右)

事例紹介をする武雄市の山田氏(左)、芽室町の西科氏(右)

 市のホームページをフェイスブックに置き換えて全国的に話題になった佐賀県武雄市から、同市つながる部 秘書課長 兼 フェイスブック・シティ課長の山田恭輔氏が登壇、「SNSのコミュニケーション戦略で未来の自治を拓く」と題した事例発表があった。地方が個性を競う時代にフェイスブックの活用によって情報発信力で先行したとし、行政の見える化、対応のスピード化、議論活発化で効果があったと説明。自治体の情報発信が即時対応できるようになり、特に災害時の情報発信の面で大きな効果があったと述べた。

 北海道芽室町議会事務局長の西科純氏からの「北海道大学公共政策大学院と連携したICT戦略、年12回発行する議会だより」と題した発表では、議会チェックの機能として市民から「議会モニター」「議会改革諮問会議」を設置、また有識者らで構成される「議会サポーター」と連携して議会の改革を進めたとした。

3氏によるパネルディスカッション

3氏によるパネルディスカッション。左から梅村氏、茅根氏、香川氏

 このほか、「議会の新しいコミュニケーション手法を考える」のテーマで行われたパネルディスカッションでは、3自治体から議会と住民をつなぐ議会側の取り組みが共有された。東京都町田市・議会事務局調査法制係の香川純一氏は、傍聴者の参加にハードルを設けない受付簿の廃止や、請願者の議会参加について説明した。

 東京都あきる野市・議会事務局庶務係主任の茅根悟氏は、市民の声をもとにした議会だよりの大幅リニューアルについて紹介。「もともとは読者のいない広報だった。市民の声をアンケートで聞き、ターゲットを明確にすることで、議会・市民のためのリニューアルになった」と語った。

 神戸市会事務局長の梅村晋一氏からは議会事務局フェイスブックの運営について、議会の活動を市民にもっと伝えていかないといけないという危機感の中で、双方向性や即時性に優れたフェイスブックがツールとして採用されたとした。

◇          ◇          ◇

右からネット選挙座談会で発言する山下氏、森氏、菅原氏、市ノ澤、阿部氏

右からネット選挙座談会で発言する山下氏、森氏、菅原氏、市ノ澤、阿部氏

 イベント終了後には、政治山が企画した座談会「初めての『ネット選挙』地方議員 反省会」を開催。7月の参院選でネット選挙活動に関わった担当者や候補者から、今回の実践と課題について報告があった。参加者は、相模原市議会議員の阿部善博氏をコーディネーターに、横浜市会議員の山下正人氏(自民党)、東京都中野区議会議員の森たかゆき氏(民主党)、元神奈川県議でみんなの党から全国比例区で立候補した菅原直敏氏の3氏と、株式会社パイプドビッツ オープンデータ推進事業部事業部長の市ノ澤充。会では、日々の活動と成果を積み上げ、選挙戦では、既存の選挙活動とネット選挙活動を通じてそれを伝える重要性について確認された。このネット選挙座談会の詳細は、改めて政治山に掲載する予定だ。

(政治山)

関連記事
第7回マニフェスト大賞 優秀賞38件が発表 優秀賞一覧表
ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟 連載