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政府が人口1億人維持へ初の数値目標  株式会社フィスコ 2014年5月14日

関連ワード : 少子高齢化 

政府は13日、経済財政諮問会議の下に設置した有識者会議「選択する未来」委員会で日本経済の持続的な成長に向けた課題をまとめた中間整理案を公表した。

少子高齢化に伴う人口減少に対応するため出産・育児支援を倍増し、50年後に人口1億人程度の維持を目指すとの目標を盛り込んだ。政府が人口に関して明確な数値目標を打ち出すのは初めて。

15歳未満の子どもの数は4月1日現在1633万人で、33年続けて減少しており、統計を取り始めた1950年以来過去最低を更新した。総人口に占める割合は12.8%と40年連続の下落で、世界でも最低水準だった。

中間整理案では、日本の人口は出生率が回復しない場合、現在の約1億2700万人から2060年には約8700万人まで減少する見通しを示した。この場合、65歳以上の高齢者が人口の約4割を占め、社会保障制度や地域経済の維持が難しくなるという。50年後に人口1億人を維持するには、2030年までに出生率を現在の1.3~1.4程度から人口維持が可能な2.07まで回復させ、その水準を維持する必要がある。「第3子以降の傾斜支援などこれまでの延長線上にない少子化対策が必要」と明記した。

また、当面は人口減少が続くことで、国民生活の悪化を避けるため「経済活動の担い手となる人口をある程度の規模で保持することが必要だ」とも指摘。女性や健康な高齢者の労働力としての活用が必要として、現在15歳以上65歳未満とされている生産年齢を、70歳までを「新生産年齢人口」ととらえ直すことも選択肢としてあげた。

人口の減少を防ぐために外国からの移民の受け入れが必要だとの意見も出されたが、社会への影響が大きいとして具体的な検討は見送られた。

中間整理案の内容は近く行われる諮問会議に提出し、6月に策定する経済財政運営の指針「骨太方針」に反映させる。

経済的に困難なことから子どもを産めなかったり、産んでも保育園が不足していたりするため、子どもを産むことをためらっている女性も多く、出産・育児支援を強化することは少子化対策としては有効だと思われるが、働きながら子どもを育てるための環境の整備は一足飛びにはいかない。また、政府が打ち出している女性の活躍促進との兼ね合いも難しいものになるだろう。

数値目標を掲げるからには、早急に本腰を入れて対策を検討し講じることが必要だ。

<YU>

株式会社フィスコ
株式会社フィスコは、投資支援サービス等を提供するプロフェッショナル集団です。2013年4月19日に、インターネットを使った選挙活動を解禁する公職選挙法の改正に伴う新たなコンテンツ提供を発表し、各政治家の発言要約や影響分析のコンテンツ提供を開始しており、その付加価値向上に取り組んでいます。
関連ワード : 少子高齢化