日中どちらが正しい? 中国軍機の異常接近、食い違う両国の言い分 海外紙は偶発的衝突を懸念 ニュースフィア 2014年5月27日
24日午前、東シナ海上空で日本のOP-3C画像情報収集機とYS11EB電子測定機2機に対し、中国のSU-27戦闘機2機が、最短約30mの至近距離まで接近した。小野寺五典防衛相が25日に発表した。
小野寺防衛相は中国の行為を「常軌を逸しており、偶発的な事故につながる危険な行為」と非難した。また乗員の報告によると、中国の戦闘機はミサイルを搭載していたとも発表している。
「挑発行為は日本から」と中国メディア
中国の人民日報によると、中国の戦闘機がスクランブル発進したのは「日本の自衛隊機が中国とロシアの合同軍事演習中、中国の防空識別圏に侵入し、偵察と妨害を図ったから」と中国国防省は発表している。
同省は「日本の自衛隊機は合同軍事演習の領空に許可なく侵入し、危険な行為をした。国際法の重大な違反であり、領空問題に誤解を引き起こしうる」と述べているという。日本には「中露合同演習への一切の偵察や干渉をやめるよう求めた」と発表し、要求に従わなければ「後の結果は日本側が責任を持たなければならない」と主張しているという。
また同省によると、中露の合同演習は定期的に行われているものの一環であり、公の事前通知もしていたという。ゆえに「中国には防空識別圏に侵入する外国機に対し必要な措置をとる権利があった」とし、自国の正当性を伝えている。
対立する両国の言い分と米メディアの見解
しかし産經新聞によると、自衛隊機の活動は「通常行っている警戒監視の任務の一環」であり、「中国海軍とロシア海軍の合同軍事演習に設定された海域、空域とはまったく違う場所」と防衛省は発表している。
このように真っ向から対立する日中の言い分をウォール・ストリート・ジャーナル紙は「日本と中国がお互いを”挑発行為”と非難」と伝えており、領土争いにまたもや緊張が高まったと報じている。
同紙によると一部の軍事アナリストは、日本と中国の間でこのような事件が起きればより大きな紛争へと発展する可能性があると懸念を表しているという。
少なくとも日本には遠慮をやめた?
それでも中国が昨年11月に防空識別圏を設定して以来、同域における自衛隊機あるいは米軍機との接近は比較的少なかった、とウォール紙は伝えている。その理由については、防空識別圏設定後にアメリカがすぐ、非武装のB-52爆撃機を送り込んできたことから、とりあえず身を引いていたのだろう、とニューヨーク・タイムズは分析している。
しかし今回の件により、その姿勢も少なくとも日本に対しては変わったようだ、と同紙は述べる。日本はアジアで唯一中国軍に対抗し得る軍事力を持っていると見られることから、米当局や防衛の専門家は、東シナ海における偶発的な衝突の危険性が拡大していることに警鐘を鳴らしているという。というのも、アメリカは日本の同盟国ゆえ、有事の際は必然的に巻き込まれるになるからだ、と同紙は指摘する。
今回中国の戦闘機からそれ以上の行為はなく、2機の自衛隊機は無事基地に戻ったというが、小野寺防衛相は中国の戦闘機による接近を「緊張を高める危険な行為」と断じ、「挑発を目的とした、通常はあり得ない近接行動」と発言した、と同紙は伝えている。