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【龍馬プロジェクトリレーコラム/若手政治家が考える「まちの課題を解決するために」】

第48回 10年先の将来を目指して (2014/10/17 阿部利基/龍馬プロジェクト全国会 東北副ブロック長)

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「地方から日本を変える」を合言葉に、日本全国の国会議員や地方議員などが超党派で集まった『龍馬プロジェクト』。政治山では、龍馬プロジェクトの思いに賛同した若手議員によるリレーコラムを連載しています。「まちの課題を解決するために」の第12回は、宮城県石巻市議会議員で龍馬プロジェクト全国会 東北副ブロック長の阿部利基氏による「10年先の将来を目指して」をお届けします。

石巻市の最大の課題は、やはり復興

 我が石巻市は、東日本大震災最大の被災地です。

 震災前は県下第2位の都市として16万人が暮らしていましたが、震災後の人口流出は止まらず、今や14万人規模(2014年7月)ではないかと言われております。

 政治的ベクトルが大きな役割を果たすべきこの大テーマに対して、政治家として、青年として意見しなければならない、10年、あるいは20年かかるこの復興において、責任が取れる世代が、政治の前に出なければ市の将来像は良いものにならないと感じ、私は政治家を志しました。

 まず、全国に共通する課題として、地方政治の抱える、選挙と政治との剥離が最大の課題だと思っています。政治家を選ぶにあたり、町や地域の代表者を選ぶという志向が強く、政治力とリーダーシップが混同されているフシがあります。

政治家とはなにか

 それはおのおのの所属する政治体の公の益を、おのおのの思想信条において議論する代弁者であるべきです。よって、本来であれば選挙において選ばれるべきは、政治家が持ち得る思想信条であるべきであり、その結果を議会において発言していくべきです。

 今の選挙の、特に地方のそれの現状は、その政策の中身や思想、哲学のあり方について議論しないまま、市民国民が政治家を選んでいます。昨今続いている地方議員の不祥事も、この「地域の顔役」「代表者」を選ぶという間違った意識から生じるものである気がします。こういったことで公益を無駄にしないためにも、選挙民自身がどういう将来や課題解決を望み、その目標により近い政治家を選んでいく、そういった過程こそが今必要とされているのではないでしょうか。

 かつてテレビや新聞、ラジオなどの受動的にしか受け取れなかった情報が、今や取捨選択に困るほどの情報がネットに氾濫している中、情報を得ることはさほど難しいことではありません。もう半歩だけ、国民市民が政治に関心を向ける、そういう世相を構築することも、我々の仕事の1つかなと感じます。

 さて、我が石巻市は2011年の東日本大震災により、甚大な被害を受けました。3年が過ぎた今でも、日本国、そして世界中の善意の中で、復旧、復興という長い航海の真っ最中です。

 その航海の中で、課題が何かといえば、この過程の中で政治がどういう未来像を提示できているのか、市民がどういう将来を描き、求めているのかを、政治的に語り合えていないことかと思います。

 私の政治観上、継承するべきものと変えるべきものを提示していくことを前提に、議会活動を行っています。例えば今、市中の公園には仮設住宅があり、地域の祭り、盆踊りやイベントが行えておりません。いち早く仮設から、新しい住宅へ移っていただけるよう、仮設住宅の集約化や、みなし仮設住宅の拡充など政策提示を行い、脱被災地を促進し、地域再生も促進できる。批判だけではなく対案を突きつけていくことが、地域課題解決の鍵だと思っております。

来るべき将来像の提示こそが政治の果たす本当の仕事

 特に石巻市は、被災前、正確には二百海里規制から、港町として構築してきた地域経済は右肩下がりでした。ゆっくりと活力を失っていく地域経済の課題に、どう盛り返していくかという答えを出せずにいた時に震災が起こったのです。

 私はこの震災を再スタートの機会だと考えるようにしています。

 まちおこしは、どうしても新しいだけのものに食いついてしまいがちで、その結果、中途半端に終わったり、後追いとなりブームの外になったりしまいます。

 震災を経た石巻だからこそできるまちづくりを原点に持ち、発信していくタイミングは今しかなく、ピンチをチャンスに変えるべく、行政に提案し続けております。

 また、今も進行している人口流出問題を食い止めるためにも、郷土愛の再確認こそが必要な作業です。2011年のあの道徳心が決して一過性のものではないと証明するためにも、あの道徳心がどこに眠っていてどこで暖められていたのかをしっかりと被災地から検証しなければならない。

 どのような財よりも素晴らしいモノを我々は持ち、勇気を持って実践したことを後世に伝え、これが近代醸成されたものではなく、古来から日本人はこうして、次に託してきたんだということをしっかりと発信し、政治家として実践していくことが最大の、善意への答えかなと考えております。

 被災後、育つ子供たちの中には、次は僕らが助ける番だと熱く語る子供たちが多くいます。彼らがその勇気を見せるとき、導に迷わないよう礎を、今からしっかり作り、託していく、そんな地域貢献で課題を解決してまいります。

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阿部利基氏著者プロフィール
阿部 利基(あべ としき) 石巻市議会議員
1979年1月24日生まれ、石巻西高校を卒業後、石巻ハイタクセンター(株)に入社。専務取締役。東日本大震災で甚大な被害を受けて会社を整理し、2013年石巻市議会議員補欠選挙に立候補、当選。現在2期目。
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