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住民の幸福度から見る「より幸せになる地方創生とは?」

第3回 結婚で幸福度って上がる? (2017/6/6 PB地方創生幸福度調査検討委員会 事務局)

関連ワード : 地方創生 幸福度 調査 

 本連載では、PB地方創生幸福度調査検討委員会(事務局 パイプドビッツ パイプド総研)による全国2万人の幸福度調査結果の紹介や、委員会の有識者との対談など、「地方創生」と「幸福度」の関係性を読み解いていきます。第3回は、「結婚と幸福度」をテーマに、未婚・既婚による幸福度の差について検証していきます。

※前回の記事にて予告した「健康・ヘルスケア」に関する記事は、第4回にて掲載いたします。

「結婚」と地方創生の関係って? ~地方創生と結婚~

 今回のテーマをみて、「結婚って地方創生と関係あるの?」と思った方もいるかもしれません。

 実は、非婚化・晩婚化による少子化への懸念を背景に、若い世代の結婚への支援が国の主要政策である「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の基本目標の一つとなっています。結婚を応援することへの国からの公的な支援は今回が初めてであり、若い世代が結婚しやすい環境づくりについて、各自治体に呼び掛けています。

男女の未婚者の幸福度に大きな差! ~結婚と幸福度×性差~

 それでは、本調査結果をみていきましょう。

 本調査における幸福度は、1~10点(「とても不幸せ」を1点、「とても幸せ」を10点)のうち、自身に当てはまる数字を1つ選んでいただきました。全回答者の平均値は6.65でした。

 結婚と幸福度について、まずは未婚者と既婚者で幸福度に違いがあるのか検証しました(図1)。

 その結果、既婚者の幸福度が未婚者の幸福度を大きく上回っていることが示されました。また、未婚者・既婚者における男女の差をみてみると、未婚者の男女差(0.63)は既婚者の男女差(0.07)よりも差が大きいことが示されました。

図1:結婚と幸福度(性別)

図1:結婚と幸福度(性別)

地域間で未既婚による幸福度の差はない!?~結婚と幸福度×性差×地域差~

 では、未婚者・既婚者の幸福度は地域間で差があるのでしょうか。

 そこで、図1について、100万人以上の都市を持つ県*と持たない県とでさらに分け、幸福度の平均値を算出しました(図2)。

 その結果、全体的に100万人以上の都市を持つ県の幸福度が持たない県よりも高いことが示されました。

 ただし、未婚者・既婚者および男女別に地域差を比較すると、地域差が最も大きい未婚女性でも、その差は0.27であり、図1の未婚者の男女差(0.63)と比較すると、地域間の差はごく小さいといえます。

図2:地域別結婚と幸福度(性別)

図2:地域別結婚と幸福度(性別)

*100万人以上の都市を持つ県(1都1道2府7県):北海道(札幌市)、宮城県(仙台市)、埼玉県(さいたま市)、東京都、神奈川県(横浜市、川崎市)、愛知県(名古屋市)、京都府(京都市)、大阪府(大阪市)、兵庫県(神戸市)、広島県(広島市)、福岡県(福岡市)

持たない県:上記以外の36県

未既婚間の幸福度の差が大きいのは、男性は70代、女性は30代!~結婚と幸福度×性差×世代間~

 最後に、未既婚による幸福度の差が、世代間によって違いがあるのか検証するため、男女別の未既婚による幸福度について、年代別に分けて幸福度の平均値を算出しました(図3)。

 その結果、未既婚による幸福度の差は、どの世代も男性の方が大きいことが示されました。また、男性において幸福度の差が最も大きいのは、70代以上(2.12)なのに対し、女性は30代(1.29)であることが示されました。

図3:年代別結婚と幸福度(性別)

図3:年代別結婚と幸福度(性別)

今回の検証により、以下の3点が明らかになりました。
(1)既婚者の幸福度は男女問わず高く、未婚者、特に未婚男性の幸福度が低い
(2)地域間で幸福度の差はごく小さい
(3)年代別において、未既婚による幸福度の差が最も大きいのは、男性では70代、女性では30代

 したがって、結婚への支援という国の政策は、少子化対策のためだけでなく、幸福度を男女・または地域を問わず上げることができる政策といえるでしょう。

 今回は結婚に焦点を当てて幸福度の違いを検証しましたが、子育て経験の有無や子育て環境によって幸福度に違いがあるのかもしれません。出産・子育てと幸福度に関する記事は改めて掲載する予定です。

 次回となる第4回は、「健康・ヘルスケア」に焦点を当て、健康状態や健康への意識と幸福度について、弊社にて開催された「キックオフセミナー」の内容から検証していきます。

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■パイプド総研(事務局)
株式会社パイプドビッツにおいて、社会における様々な問題の解決のための政策やICT技術、また関連する先進事例について、社外の専門組織、企業、地方自治体等との協力関係のもと調査研究を進めるとともに、地域や民間組織等具体的な場面での実現・実証を行い、それらの成果を社外に広く発信するために設置している組織です。<パイプド総研とは
■PB地方創生幸福度調査検討委員会(委員長: 政策創造塾塾長/明治学院大学学長特別補佐(戦略担当) 伊藤健二)
パイプド総研で運営している「政策創造塾」において、「地方創生」を幸福度の観点から検証するため、全国2万人以上を対象とした、住民の「幸福度」及び「働き方」「生活意欲」等に関するアンケート調査を実施するために発足した委員会です。リクルートホールディングス、みずほ銀行、NTTデータ経営研究所等の有識者に参加頂き、荒川区、和歌山県に協力頂いています。<委員会メンバー
関連リンク
調査レポート(PB地方創生幸福度調査)
政策創造塾
関連ワード : 地方創生 幸福度 調査