全国発信!「みんなde議会」 (2021/7/28 敦賀市議会議員 前川利治)
地方自治体の議会・首長等や地域主権を支える市民等の優れた活動を募集し、表彰する「マニフェスト大賞」。今年で第16回を数える同大賞の応募が、7月1日から始まりました。過去の受賞者に、応募した取り組みの紹介や、受賞して感じたことなどを綴っていただきます。今回は、2020年(第15回)に優秀コミュニケーション戦略賞を受賞した前川和治 敦賀市議会議員です。
「みんなde議会」の概要
市長から議会に提案された予算書を、市民の皆さんに即日公開し、市の予算を市民と一緒に審査できる場が「みんなde議会」である。
実際に、議会に配られた予算書を、参加者に配り予算内容を議員(前川和治)が説明、これから議会で審査する市の予算案について、参加者である市民が審査し、採決まで行う。予算採決の結果や、予算に対する意見については、後日開催される定例会で、議員が市民意見を代弁し、市政に反映していく。
終わったことを報告する議会報告会ではなく、これから議会が審査・決定していく予算について、参加者が議員になったような感覚で市政に意見ができ、反映できる「みんなde議会」は議会報告会に変わる新しい取り組みであり、多様な意見を意思決定に反映する議会・議員本来のあり方である。
取り組みのポイント その1
最大の取り組みポイントは、市長から議員に配られた予算書を即日公開し、予算について話し合える場「みんなde議会」を開催すること。
予算書を議員個人だけの所有物にするのではなく、すぐに市民に公開することにより、支援者、会派、仲間内、議員一人だけの価値観や考えだけで予算を審査するのではなく、多くの方の意見が予算に反映できるようにしている。
取り組みのポイント その2
「みんなde議会」は、税金は、自分のお金だと認識してもらうことからスタート。
もともと税金は自分のお金であるにもかかわらず、給料から天引きされている場合、税金をいくら納めているのか知らない方が多い。また、いったん納税してしまうと税金は自分のお金ではなく、他人のお金、行政のお金になっており、税金=自分のお金という意識が全くないことが、政治離れに繋がっている。
「みんなde議会」では、自分が納めた税金の額をクイズ形式で算出し、税金は自分のお金だと認識してもらうことを徹底している。税金を「自分のお金」として捉えてもらうことにより、予算を見る目が変わり、真剣で闊達な議論が飛び交う。
参加者である市民の意見は合意形成を図った上で、数日後開催される定例会で議員が一般質問等で代弁し、市政に反映していく。
これまでの成果として、参加者から出た意見を代弁していくことにより、廃止になった事業、新規に立ち上がった事業もある。
また、「みんなde議会」での参加者の声や意見については、意見集約書を毎回作成。
意見集約書を元に議会で発言していくのはもちろんのこと、意見集約書は、予算に関係ある担当課に提出している。さらに、意見集約書は参加者全員に送付し、追加の意見などがあればいつでも電話・メールで提言できる仕組みとなっている。
まとめ
議会報告会は、全国的に広がったが、もはや時代と市民ニーズに合っていない。時代に合わせて議会・議員のあり方を変えていかなくては、市民にとって議員の存在意義がなくなっていく。
今の時代は、終わったことを報告する議会報告会ではなく、これから議会が審査・決定していく予算について、市民と一緒に税金の使い道を話し合える場が必要であり、話し合いを集約した結果を、議会の意思決定に反映することが議員には求められている。
議員の価値観や考えだけで、予算審査するのではなく、多くの市民の意見が市政に反映できるような場づくりに今後も取り組んでいき、議会報告会に変わる新しい取り組みとして「みんなde議会」を全国に広めていきたい。
マニフェスト大賞受賞後の感想と受賞後の展開
全国に、みんなde議会の仕組みを伝播することを目標として、マニフェスト大賞に応募。
2020年マニフェスト大賞では、過去最多応募の中から、「みんなde議会」が、マニフェスト大賞コミュニケーション戦略賞。マニフェスト大賞を受賞したことにより、大きく新聞にも掲載され、県内、県外から「みんなde議会」の取り組みに興味を持ってもらうことができた。
その結果、全国各地で、「みんなde議会」の仕組みを伝えるプレゼンをさせてもらうことができ、全国に「みんなde議会」を伝播することができたのはマニフェスト大賞を受賞して良かったこと。
マニフェスト大賞の醍醐味
「マニフェスト大賞で人生が変わった」というと大袈裟かもしれないが、これまで地元で15年にわたり地道にやってきた活動が、これほどまで全国の皆さんが欲している内容だとは思わなかった。「みんなde議会」のプレゼンをした後は、「『みんなde議会』パクらせてください!」というオファーが殺到。
当初の目標である「時代にあった議会、議員のあり方として、みんなde議会を全国発信する」という自身の目標も、マニフェスト大賞のおかげで一気に加速。まだまだ全国には地道に頑張っている活動や政策が数多くあると思う。ぜひ、マニフェスト大賞という場を活用し、活動や政策を全国発信していただきたい。
全国の皆さんで良い政策を共有することにより、より良い国・地域になっていくことを願っています。
■第16回マニフェスト大賞(応募は8月31日まで)
http://www.maniken.jp/manifestoawards/
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