【早大マニフェスト研究所連載/マニフェスト学校~政治山出張講座~】
マニフェスト型選挙で税金を取り戻せ!~マニフェストの通信簿をつけよう(1)(2012/11/1 早大マニフェスト研究所)
政治山では、ローカル・マニフェストによって地域から政治を変える活動を行っている「早稲田大学マニフェスト研究所」(所長:北川正恭早大大学院教授)と連携し、「議会改革」と「マニフェスト」をテーマに連載しています。マニフェストをテーマとした連載「マニフェスト学校~政治山出張講座~」では、議員・首長などのマニフェスト活用の最新事例をもとに、マニフェスト型政治の課題や可能性について考えていきます。
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私の税金は政治家に決められている
衆議院が「近いうちに解散か?」と思わされた日から、早や2カ月近くが経過しようとしています。今となってはいつになるか分かりませんが、2013年夏の任期満了時には総選挙が必ず行われるわけですから、それほど遠くない時期に総選挙は実施されます。それは、日本中が沸いた2009年のあの総選挙から4年近くが経過しようとしていることを意味しています。
2009年夏、民主党が掲げたマニフェストには選挙のときから「財政根拠が不明」「実現可能性が薄い」などの意見が出されていましたが、政権奪取後にそのとおりだったことが明らかとなりました。さらに、それに対する十分な説明がなされないものですから、政党支持率は低下するばかりです。1980年代の政治家汚職事件などから始まった政治不信はいよいよ高まり、国政に対する国民の信頼や関心は極めて薄れ、国民の政治離れは深刻になる一方です。そのような状況の中、「近いうち」に総選挙は確実に行われるのです。
税金をはじめ環境や経済、教育や福祉といった「私たちのあらゆる生活に密着したこと」を国会では決められています。それを決めている国会議員(政党)は私たちの1票によって選ばれているのですから、選挙に行くのを放棄したり、ほかの人に言われたからと無条件で票を投じたりするといった、「もったいない」ことは避けたいものです。自分が収める税金の使途がその人たちに決められるのですから、選挙が終わった後で「納得できない」と怒ってみても選挙を放棄しているのでは話にならないですよね。自分で選んだ人や政党へ自分の意思を投じていただきたい、と切に願います。
ただし、民主主義は多数決で物事を決めますので、自分の意見が必ずしも通るかどうかはわかりません。そのことは理解しなければなりませんが、そういう議論する場――すなわち選挙へ関心を持つことは、自分の生活に直結しているということを知っておかなければならないと思います。
マニフェストの通信簿をつけよう
それでは、私たち国民は今度の選挙にどのように臨めばよいのでしょうか。
まず、今の政権政党がどのようなことを実行してきたのか、それに対してどのような変化が生まれたのかについて確認する必要があります。いわゆる「通信簿」をつけてみることです。“今までの取り組みがよかったのか悪かったのか”を認識しないことには、よい点は次で伸ばせないですし課題として残った点は改善につなげることができません。通信簿をつけて確認をしてから“次の選挙で取り組もうとしていることはどうなのか”を見ていく必要があると思います(もちろんそのときには、他党はどのように取り組もうとしているのかを見る必要がありますね)。
選挙時に国民と“約束”したことがどうなったのかをちゃんと確認しないまま次の選挙へ向かう流れは、そろそろ変えないといけません。約束を破ってもバレなければ黙って素通りのような無責任、あるいは「約束ってなんだったっけ」と無責任なことを繰り返していては、いつまでたっても社会がよくなることはありませんよね。選挙時の約束をきちんと確認してから次へ進むリズムをつくることが、政治家にとって「国民の目が厳しいからきちんと仕事しないと」と姿勢を律することとなり、それが私たちの収めた税金が適正に使われることにつながっていくと期待しています。
次号では、「通信簿は誰がどのようにつければよいのか」について書いてみたいと思います。