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【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】

第4回「選挙が変われば、日本が変わる~マニフェスト選挙を目指して~」(2012/09/26 豊川市議会議員 とみた潤/LM推進地議連)

ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟 連載・コラム

 政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。9月5日からは、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を開始しています。第4回目は、愛知県豊川市議会議員のとみた潤氏による「選挙が変われば、日本が変わる~マニフェスト選挙を目指して~」をお届けします。

選挙って体育会系

 選挙ってどんなことをするのでしょうか。
 朝から駅や交差点に立って、晩まで街宣車を走らせて、ポスターを貼って回るなど、地方議員選挙の候補者は全力を尽くして選挙期間を乗り切ります。選挙とは非常に体力を使いますし、人を多く集めないと成り立たないのが現状です。私のような、どこの団体からの支援もなく、地元の町内からも推薦がない候補者にとっては、心身ともに辛い7日間になります。そうです、今の選挙は体育会系なのです。体力があって人を多く集めないとやっていけないのです。

今の選挙は政策のことがどこかにいってしまっている

 私の挑戦した愛知県豊川市議会議員選挙では、団体からの支援や町内会の推薦を受けて立候補するのが常識でした。しかし私は、どの団体からも、どこの町内会からも推薦がなかったので、私が落選の第一候補だと思われていたという話を後日聞きました。幸運にも当選させていただきましたが、選挙期間中は人もおらず7日間は大変でした。街宣車には運転手と私の2人しか乗っていないという状態で、朝から晩まで1人でマイクを握り続けるという過酷な“体育会選挙”を経験することになりました。

 地方議員の選挙に関しては、選挙の告示日前まではチラシやマニフェストを配れるのですが、いったん選挙が告示されてしまうと何も配ることができなくなってしまいます。選挙期間中に配られるのは選挙公報があるだけで、基本的には政策やアイデアを広める手段が限られてしまうのです。また、選挙公報のない選挙もまだまだあります。

 そうした中で、有権者は何をもとに投票するのでしょうか。国政選挙ならばテレビニュースなどで放映されますが、私のような市議会議員選挙はテレビの報道はほとんどありません。新聞記事にも候補者の名前は記載されないために、わかりにくいです。選挙中にあるのは「あの人は、ここが地元だから」とか「誰々候補は町内会の推薦だから、入れなければいけない」などの声です。私もそうですが、体育会系の選挙をやっていると政策やアイデアはどこかにいってしまったかのようになってしまいます。このような選挙を経て議員になると自分の推薦団体や町内会の要望ばかり議会で発言することが多くなります。

 現在、豊川市では、町内会の要望を各町内会から市の担当に年に1回提出する仕組みになっています。従って制度上も、町内会からの要望を議員が議会で発言する必要はなくなっているのです。それにもかかわらず、町内会の要望を発言する例が現在でも散見されます。政策抜きの「体育会選挙」自体が悪いわけではなく、当選した人が豊川市全体のことを考えた行動をしていただければ問題はないのです。しかし、現行の選挙制度では、それを期待するのは少々時間がかかってしまうと考えています。

 今の選挙において、政策を訴えるだけで勝ち残ることができるのでしょうか? アイデア1本で立ち向かうことができるのでしょうか? それは極めて難しいのが現状です。まずは体力勝負や人員勝負の「体育会選挙」を変えなければなりません。これからは、政策を闘わせて投票先を決めてもらうことや、このまちをよくするアイデアで勝負できる土壌を作っていかなければなりません。

 私はそのためにローカルマニフェスト推進地方議員連盟で活動していますし、マニフェスト大賞の実行委員として、地方議員の政策や活動に光を当てる活動をしています。

マニフェスト選挙と選挙教育が実現したら……

豊川市議会議員・とみた潤氏 豊川市議会議員・とみた潤氏

 選挙がもし、政策やアイデアを選ぶというマニフェスト選挙になったらどうなるでしょうか。きっと議会が変わって、まちの風景が変わってくるでしょう。

 選挙期間中の様子も変わってきます。街宣車はなくなり、のぼり旗もなくなり、ハガキなどもなくなります。そして登場してくるのは、公開討論会です。マニフェスト選挙の期間中には、公式設置された公開討論会に候補者は参加します。そこで今後のマニフェストやビジョンを闘わせるのです。有権者はその内容を聞いて、自分のまちの将来のために、誰に投票したらいいのかを選ぶ材料にします。候補者は、街宣車の人数を確保したり、ポスター貼りをやってもらう人員を確保したりということは一切やらずに、投票日まで政策1本で戦い続けるのです。

 次の段階は、有権者の選挙教育です。選挙での投票先は何を基準にどうやって決めていくのかを学ぶプログラムが必要です。残念ながら私は、そのような教育は受けてこなかったので、自分で考えるしかありませんでした。しかし、教育のプログラムに選挙の投票先の選び方があれば、今よりもっとアイデアや政策本位の投票行動をする人が増えてくるのです。マニフェスト選挙を行うには、選挙教育はセットでなければいけません。

 マニフェスト選挙と選挙教育の2つが行われた時、私たちの住むまちはどうなっているのでしょうか。そして、この国はどうなっているのでしょうか。私は楽しみで仕方ありません。長く、険しい道のりですが、私はそうなることを願って今後も活動を進めてまいります。

◇        ◇        ◇

著者プロフィール
とみた潤(とみた・じゅん):2007年4月愛知県豊川市議会議員選挙に初当選、2011年4月再選。どこの政党にも属さず、団体の支援もなく無所属で活動しています。東海若手市議会議員の会会員、マニフェスト大賞実行委員(第3回より)、ローカルマニフェスト推進地方議員連盟運営委員、一新塾13期政策提言コース 卒塾。
HP:とみた潤ブログ
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