【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】
第2回「武蔵野市議会の今~何を減らすかを考えなくてはならない~」(2012/09/12 武蔵野市議会議員 川名ゆうじ/LM推進地議連)
政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。9月5日からは、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を開始しています。第2回目は、東京都武蔵野市議会議員の川名ゆうじ氏による「武蔵野市議会の今~何を減らすかを考えなくてはならない~」をお届けします。
本来の議会の役割が求められる時代
武蔵野市と市議会の様子を紹介します。武蔵野市の財政力指数(注1)は、1.5~1.7程度と安定し続けてきており、全国の市の中でも常にトップ争いをしているほどの財政力を誇っています。しかも、有力な企業に支えられているのではなく、個人市民税に支えられているのが特徴です。財政に恵まれていることもあり、「コミュニティバス(ムーバス)」や自宅を担保にして高齢者サービスなどを提供する「リバースモーゲッジ」(注2)など、先駆的な政策も次々と実現してきました。また、多くの市民が市政へ参加する市民自治を古くから実践してきたことも特徴です。
しかし、ここへきて上下水道設備や公共施設の更新の時期を迎え、今後、約1,500億円と試算される大きな財政支出が見込まれている(注3)ことから、新たな施設は建設しないと総合計画に明記し、公共施設や市民サービスの整理統廃合をしていく時代を迎えています。
このことは、議会が今後どのように考え、判断していくかが問われているとも言えます。とかく、あれもこれも欲しいとなりがちな議員の活動から、何を減らしていくかを判断しなくてはならないからです。その判断は、当然ながら、陰で決めることや行政任せで決めるわけにはいきません。公開の場で、いろいろな立場の意見を尊重しながら、議論によって決めていかなくてはなりません。つまり、議事機関という本来の議会の役割が求められており、そのような議会へ改革することが重要となっています。
議論する議会へ改革を進める武蔵野市議会
議会改革と言えば、議会基本条例をすぐに思い描きますが、条例制定を目的とはせずに、「議論する議会」へと少しずつ改革が進められているのが、今の武蔵野市議会です。議会基本条例を制定しても、実際には効果がない議会もあることから、全市民の代表として議論する、そして説明責任を果たすにはどのようにすればいいかという実質的な機能を考えて議会改革が進められています。
現状では際立った成果にはなっていませんが、この改革の推進力になれればと日々活動しているのが私の現状です。いずれ、改革の果実が実った際には政治山で紹介をさせていただければと考えています。
◇ ◇ ◇
(注1)財政力指数…地方自治体の財政力を示す指数で、数値が高いほど自主財源の割合が高い。1を超える自治体は、地方交付税の交付を受けない。[記事に戻る]
(注2)リバースモーゲッジ…高齢者などが居住する土地・住宅を担保に年金など定期の融資を受ける制度。詳しくはこちらを参照。[記事に戻る]
(注3)武蔵野市の一般会計は600億円弱。[記事に戻る]
- 著者プロフィール
- 川名ゆうじ(かわな・ゆうじ):東京都武蔵野市議会議員。3期目。民主党所属。市議会では議会運営委員会委員長、総務委員会委員など。フリーライターとしてアウトドアやパソコン雑誌などでの執筆活動を経て市議会議員に。ローカルマニフェスト推進地方議員連盟事務局長。
HP:川名ゆうじのサイト