【LM推進地議連連載/地方議員リレーコラム】
ローメーカーとしての議員の役割
~海ごみ対策法、マニ大受賞、3.11に関連して~(2012/08/08 酒田市議会議員 佐藤丈晴/LM推進地議連)
政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載コラムを掲載しています。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信中です。第13回は、山形県酒田市議会議員の佐藤丈晴氏による「ローメーカーとしての議員の役割~海ごみ対策法、マニ大受賞、3.11に関連して~」をお届けします。
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2009年、選挙による政権交代がなされた暑い夏、国会では議員立法による法案の審議が進められていました。法案名は、「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律(海岸漂着物処理推進法)」、衆参両院で、全会一致で可決・成立しました。この法案の作成には、約3年間、NGOや自治体が関わりました。
私たちも「海ごみ対策推進地方議員連盟」(会員約50名)という超党派の自治体議会議員のグループを作り、自民党の特別委員会や自民・公明のPT(プロジェクトチーム)などに参加し、発言をしました。自治体議会の議員が、国会議員と立法に関わること自体が珍しく、ある意味では、自治体議会議員の新たな働き方とも言えるかもしれません。そして、これらの活動が第4回マニフェスト大賞地域環境政策賞最優秀賞の受賞につながりました。
海岸漂着物処理推進法の制定後は、約60億円の「グリーンニューディール基金」をもとに、プラスチックごみの漂着で苦しんでいる自治体(都道府県)が、ごみの除去、発生抑制、教育を通した啓発活動などにそれぞれの創意工夫で取り組みました。それらは、都道府県で温度差はあるものの、これまでの取り組みからすれば一定の前進とも言えます。しかし、海岸漂着物処理推進法をもとに、都道府県議会で独自の条例制定に至っているわけではありません。自治体が基金をもとに事業を行っている中で、ローメーカーたる自治体議会議員が条例制定の役割を十分に果たせていなかった点は、今後の検証が必要だと思われます。
震災がれき処理で国際的にルールづくりをしていくことが、日本の政治家の役割
佐藤丈晴氏
2011年に起きた3.11東日本大震災では、多くの尊い命が奪われました。と同時に、海洋には大量の震災起因のがれきが発生し、アメリカ西海岸への漂着など新たな問題を生じました。震災などの自然災害を想定した漂流物処理の国内外のルールは、現状存在しません。ルールがないので、その事象ごとに、当事国間で話し合い、解決していかなければなりません。
しかし、今回の震災のような想定を超える量の震災がれきの漂着は、その場対応の解決方法でよいのでしょうか。むしろ、今回のケースをきっかけに、“地球上の海は人類共有の財産”と捉え、震災など自然災害で発生する震災がれきの撤去、処理については、人類共通の課題として解決する方法を考えた方がよいのではないかと思われます。
国連のような国際的機関に震災がれき処理に関する基金を創設し、一定のルールを構築しながら、いざ、そのような事象が発生した際に、円滑に、迅速に対応できるようにしておくことは、地球益につながることです。
日本はこれまで、海岸漂着物処理推進法という国内法で解決の道筋を作ってきていますので、国際的なルールメイキングのリーダーシップが取れるはずです。しかも、今回の震災では当事国です。アメリカをはじめ多くの国の海岸に、日本の震災がれきが漂着してしまう現状からも、リーダーシップをとる必要があるのではないでしょうか。海岸漂着物処理推進法制定に関わった政治家やNGOのみなさんで問題提起をしてもよいのではないかと思います。ローメーカーたる政治家は、特に、このような国際的ルールメイキングでも役割を果たしていくことが、これからの大きな役割になってくると思います。
- 著者プロフィール
- 佐藤丈晴(さとう・たけはる):平成15年酒田市議会議員初当選、3期目。海ごみ対策推進地方議員連盟幹事会代表、龍馬プロジェクト政策委員長。LM地議連運営委員(元共同代表)。
Facebook:佐藤丈晴