労働者にとって理想的な会社はどうすれば創れるのか (2018/7/23 瓦版)
変人・安田の境目コラム
労働者のための会社づくりへ向け、私がやっていること
私はBFIという株式会社の代表取締役社長であり、30%の株式を所有する筆頭株主でもあります。私の他にも株主が3人いて、彼らは一緒に会社を立ち上げた仲間、言わば共同経営者でもあります。出資者(オーナー)であり、経営者でもある私たちには、共通の利害があります。それは、会社の収益性を高めて、私たち自身の収益も増やすこと。
でもね、申し訳ないのですが、私が目指す姿はちょっと違うのです。会社の収益性はあまり考えていない。儲けて、それを配分することも、全く考えていないのです。最初から、そう考えていたという訳ではありません。ガッツリ儲けて、皆で分けよう。そう思っていました。でも変わってしまったのです。
まず私は、人を雇うことをやめました。雇用することによって金儲けする、というのが嫌だから。とても時代遅れだと感じるから。そして、権利収入を取ることもやめました。株主である、社長である、というだけで報酬をとっていく自分が嫌だから。オーナーだけが潤うような仕組みが嫌だから。
目指すのは資本家も経営者も必要としない会社
今、私が作りたいのは、株主であり、経営者である私たちに、安定収入が入ってくる仕組み。では、ありません。私が手に入れたいのは、自分という労働者が楽しく働き、安定してそれなりの報酬が取れる仕組み。私以外の人も、同様に働ける仕組み。つまり私は株主利益も、経営者利益も捨てて、労働者として最良の仕事と報酬を享受できる会社を作りたいのです。
全ての利益が顧客と労働者にために使われ、全ての仕組みが顧客と労働者のために作られた会社。資本家も、経営者も、必要としない会社。
とは言え、BFIは株式会社です。普通に登記しているし、私には代表としての責任もあります。でも私はその責任を超えたい。株式会社という枠組みを超えてみたい。社長をなくした最初の社長になりたいのです。
<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ)は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。
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