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給与の時給公開を決定した企業は革新的か厳格過ぎるのか… (2018/4/3 瓦版

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なぜ、社員の給与を時給でオープンにするのか

(株)あしたのチーム

真の働き方改革には何が必要なのか…。残業削減や週休3日制など、分かりやすい施策で改革を進める企業は増えている。だが、その多くは“改善”レベルにとどまっているのが実状だ。企業の働き方改革をサポートする(株)あしたのチームはさきごろ、新年度からの人事制度を発表。その内容は、評価と報酬に大胆に切り込んだ、“脱年功序列”を推進する革新的なものとなっている。

丸裸になる社員の“働きぶり”

全社員の給料を時給換算で発表する。同社が新たに導入する時給開示制度は、その名の通り、給与の完全ガラス張りだ。報酬については、年収を公開している企業は珍しくない。だが、同社の制度では、諸手当を除いた純粋に評価に直結する部分のみを対象に、労働時間で割った時給の公開。従って、だれが、どれだけ生産性が高いかが一目瞭然となる。

「時給として給与がオープンになることで、互いに健全にけん制し合いながら、仕事に対しての責任感、緊張感が高まると考えている。それによって、生産性を意識した環境が生み出され、社員は適切なパフォーマンスを出せるだろう」と同社CHOの田尾豊氏は導入の狙いを説明する。

日本企業のほとんどは、報酬に関しブラックボックス化しているのが実状だ。頑張りでなく、年功が昇給に影響。その延長に終身雇用制度もあり、正当な評価はうやむやになりがち。右肩上がりの時代は情勢にフィットしていたため、それなりに機能していたものの、もはや日本は成熟期。昇給等も含め、システムの大きな方向転換が求められている。企業の評価を支援する同社は、先頭に立ってそれを実践すべく、より踏み込んだ評価制度を打ち出した形だ。

社員の給与を時給公開する狙いを熱く語った高橋社長

社員の給与を時給公開する狙いを熱く語った高橋社長

「正当な給与制度をもたなければ、どんな制度を導入しても掛け声だけで終わる。99%の会社が時給の公開はできないはずだ。だから、我々が実践し、フィードバックしながら、中小企業にその導入をサポートしていきたい。今回の発表はその強い覚悟だ」と同社代表の高橋恭介氏は力強く語った。

言葉通り、発表は同社の新年度のビジョン共有会の場にマスコミも集める異例の形で行われた。“給与事情”は、内輪だけにとどめがちだが、あえてメディアにも公開したのは、まさに強い覚悟ゆえだろう。完全公平ガラス張りの評価オープン化は、改善レベルの働き方改革と一線を画す、会社と社員の関係を転換するほどの抜本的な改革への大きな一歩といえる。

新卒初任給にもいきなり成果が連動するシビアさ

「過去の遺物」といえる年功制打破への本気度を示す、さらなる斬新な施策も発表された。それは新卒初任給の4段階制だ。入社したてで横並びはずの新卒給与だが、内定者のインターン時における働きぶりなどを精査。初任給から最大でなんと、11万円もの給与差がつく。

CHOとして人事制度改革の狙いを開設した田尾氏

CHOとして人事制度改革の狙いを開設した田尾氏

「年功序列や終身雇用制度は、入社時点の段階から崩壊している。それを体感していただける制度。評価を上中下の3段階でなく4段階にしているのは、真ん中の普通はないということ。できるか、できないか。これによって厳しい側面も見せていきたい」と同社田尾CHOは説明した。

画期的なのか、厳格過ぎるのか…。ぬるま湯にどっぷりつかっている会社員にとっては、間違いなく後者だろう。だが、今後、社員が頑張らない企業は確実に淘汰され、同時に社員を正当に評価できない企業は戦力を先細りさせることは確実だ。企業を評価する企業の代表として「ブラック企業をなくしたい」と力を込める高橋氏。働き方改革ではその本質がぼやけがちだが、企業にとって本気で取り組まなければ、その浮沈に大きくかかわる――。あえて自社が率先することで、その説得力はグッと強くなっている。

提供:瓦版

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