移住先人気、上位県は変わらず キーワードは「都心」へ (2017/5/1 nezas)
田舎暮らしを希望している人が増えています。その移住希望先ランキングで、毎年上位を占めているのが、長野県と山梨県です。なぜこの両県が人気なのでしょうか。
ランキング上位の長野県と山梨県
認定NPO法人ふるさと回帰支援センターが毎年発表している、都会から地方への移住希望先アンケートによると、2016年のランキングは以下の通りとなります。
1位:山梨県
2位:長野県
3位:静岡県
ちなみに2015年と2014年は以下の結果でした。
2015年 1位:長野県、2位:山梨県、3位:島根県
2014年 1位:山梨県、2位:長野県、3位:岡山県
長野県と山梨県が毎年のように1位と2位を争っています。長野県は、過去8年間上位2位以内に入り続けていて、山梨県も過去4回連続で上位2位にランクインしています。田舎暮らしを希望している人たちにとって、長野県と山梨県は、他県にない魅力があるようです。
長野県と山梨県に人気が集まる理由は?
地方移住希望者は、なぜ長野県や山梨県に惹かれるのでしょうか。
一つめの理由は、都心部からのアクセスがいい点です。どちらも日本の中心にあるため、東京や名古屋など都心部からの電車の便がいいことと、高速道路や環状線の開通によって車でのアクセスも格段に便利になりました。このため当面は都心で仕事をして、休日は田舎暮らしという緩衝期間を設けることもできて、田舎での生活に馴染んだ後でも、気軽に都心でショッピングやレジャーを楽しむこともできます。
二つめの理由は、豊かな自然があることです。山梨県は霊峰富士をはじめ八ヶ岳、南アルプスの山々があり、四季折々の景観が美しいです。また長野県は日本アルプスの山々、川、湖、森が豊富にあり、夏は涼しく、冬はウインタースポーツが盛んで、温泉もたくさんあります。
産業の面でも、山梨県はジュエリー、ワイン、織物など特色ある地場産業に加え、ものづくり産業や燃料電池関連技術に関する最先端の研究開発拠点が集積しています。長野県は高度な加工技術、国内外でトップシェアを誇る優良企業が数多く立地しているため、幅広く専門的な雇用吸収力があります。両県ともすでに多くの移住者がいるため、いろいろと相談ができるので、移住希望者にとっては心強いでしょう。
そして山梨県、長野県の人気が高いもう一つの理由が、移住に関する情報入手のしやすさです。長野県も山梨県も都内にアンテナショップを開設していて、そこでは直産品の販売だけでなく、移住の相談窓口を設けて専門のガイドブックを用意するなど、地方移住希望者のための情報発信に積極的です。またホームページでも、地域の風土や移住者の田舎暮らしの様子を紹介しています。
「引退暮らし」から「仕事・生活の拠点」へ
「ふるさと回帰支援センター」の最近の利用者を年代別に見ると、20代から40代までが68%となっています。このことから、地方移住は高齢者の引退先ではなく、働き盛りの現役世代が仕事と家族の生活の拠点として考えていることが伺えます。アンケートでも、今年はじめて「移住先選択の条件」として「就労の場があること」が「自然環境が良いこと」を上回りました。移住の目的がかつての「隠居暮らし」から、最近では現役世代のための「仕事・生活の拠点」へと移行しているといえるでしょう。
長野県と山梨県は、就業や生活の場としての環境づくりに熱心です。もともと山梨県は精密加工業、長野県は先端産業の集積地で雇用の機会は多いといえます。また両県とも、地元での生活実態を知ってもらうための見学会や就業セミナーを開催したり、ゲストハウスの用意、コワーキングスペースを設置したりするなどの施策を整えています。さらに家族での移住を想定して、学校、病院、図書館や老人ホームなどの公共施設を充実させている点も、移住希望者にとっては嬉しいポイントでしょう。
実は1位と2位を争っているといっても、両県ともまだ県外転入者より転出者のほうが多いのが現状です。人口減少は何処の県も同じ悩みを抱えていますが、山梨県と長野県は県外からの移住希望者に対して、万全の体制を整えています。
都心を離れ、豊かな自然の中で充実した現役人生を送ってみたいと考えている人は、山梨県や長野県への移住を検討してみてはどうでしょうか。
提供:nezas
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