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なぜ「働き方改革」は必要なのか (2017/3/8 瓦版

関連ワード : 労働・雇用 災害 

働き方改革はどこへ向かい、何をもたらすのか

職場でのモヤモヤが明確になったアノ時

人材論の世界的権威、リンダ・グラットンの「ワーク・シフト」が出版されたのは2012年7月。その当時、日本は東日本大震災の爪痕から復興に向いながら、拭いきれない喪失感に覆われていた。「当たり前の日常も一瞬で失われる」--。そうした不安が膨らむ一方で、明確な打開策を見いだせない中、同書が示した未来図は、一気にそのモヤモヤを晴らすほど痛快で鮮明だった。

港町

日本のビジネスパーソンにとって、仕事は企業に所属し、そこで忠誠心を発揮しつつ、黙ってこなすのが美徳だった。例え理不尽な命令だったとしてもだ。根底には、会社は社員を定年まで守ってくれるという信頼関係がある。だが、震災は、社員の頑張りや業績の好調さとは無関係に、そうした関係をもあっさりと崩壊させるという事実を突きつけた。かつてない衝撃がまだ収まらないタイミングに登場した同書による働き方改革の必要性は、意識の高いビジネスパーソンを刺激しないハズがなかった。

働き方改革が必然のムーブメントとなった分岐点

ある者は会社を辞め、ある者は在宅勤務を掛け合った。ボランティア活動に専念する者もいた。「このままではいけない」。あふれる寸前の思いが針でつつかれ、一気に流出するようだった。企業自らが動くケースも出た。リモートワーク導入、在宅勤務解禁…。本来、タイミングはもっと前にあったはずだが、震災という物理的衝撃がズルズル先送りされていた改革のスイッチを押した格好だ。以降、「働き方改革」は、単なる技術進化に伴うシフトではない、パラダイムシフトにおける必然のムーブメントとして大きく動き始める。

コワーキングスペース、クラウドソーシング、フリーランス、クラウドワーキング…。すでにリリースされていたサービスも「新しい働き方」という文脈の中で、急速に注目度を高めていく。<時間と場所に捉われない働き方>。従来の働き方とは対極といえるワークスタイルが、日本の次世代を担うといわんばかりに脚光を浴び、社会現象のように拡大していく。だが、注目度とは裏腹に、ムーブメントが日本の企業に浸透するには至らなかった。あまりにも働く個々による関心の度合いに差があったのだ。(続く)

提供:瓦版

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