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職場での「LGBT」関連の差別、8割強が「なくすべき」と回答 (2016/9/23 QLife

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認知率は47%、世代が上がるほど低くなる傾向

 「LGBT」とは何の略称か、すぐに答えられますか?レズビアン、ゲイ、バイセクシャル(両性愛者)、トランスジェンダー(性同一性障害者など)の頭文字をとったもので、性的少数者の総称を意味しています。国内では、国会でLGBTの差別をなくす法整備についての議論が行われたり、全国に先駆けて東京都渋谷区が結婚に相当する関係と認めた同性カップルに婚姻届と同等の「パートナーシップ証明」を実施したりと、取り巻く環境も変わりつつあります。

夫婦の影

 こうしたなか、連合(日本労働組合総連合会)が「LGBTに関する職場の意識調査」を初めて実施。対象としたのは、全国の民間企業で働く20~59歳の男女1,000人で、認知・イメージや職場でのハラスメントの実態などを質問しました。

 LGBTという言葉の認知率は47.1%で、ほぼ半数の人が知っていると答えました。世代別にみると、20代が54.8%と最も高かったのに対し、50代では39.2%と、世代が上がるほど認知率が低くなる傾向が判明。イメージを尋ねたところ、ほぼ半数が「他の人と変わらない存在」と回答したものの、「一部の職業に偏っていて、普通の職場にはいない人びと」と答えた人が16.5%にも上り、「差別や偏見を受ける状況に置かれている」といった色眼鏡で見ていることもうかがえます。

差別的な取り扱い、1割強が見聞き

 では実際、職場ではLGBTに関するハラスメントは起きているのでしょうか。調査によると、2割強の人が職場(飲み会など含む)でLGBTに関するハラスメントを経験、または見聞きしたことがあると答えています。差別的な取り扱い(解雇、降格、配置転換など)についても、1割強の人が同様の回答を寄せており、性的少数者にとって、理解ある環境が整ったとは言えなそうです。

 しかしながら、8割強という大多数の人が差別をなくすべきだとも回答。そこで、差別をなくすための法整備について尋ねると、「法整備をすべき」と答えた人は4割半ばにとどまっています。「啓発や個別対応をすればよく、法整備は必要ない」、「わからない」と答えた人はそれぞれ2割強と、個人的な問題と捉えている人や、現段階では判断に困っている人もいることがわかります。

 今回の調査では、LGBTに関する差別や偏見、「男」はこうあるべき、「女」はこうあるべきといった性別規範意識などが、職場でのハラスメントや差別の原因になっていることも明らかになりました。性に関する問題は、当事者以上に、周りの人が過敏に反応してしまう風潮があるのかもしれません。職場とは本来、多様な価値観を持つ人の集合体です。性に関しても多様性を認め合い、“生きづらさ”を抱える人が一人でも少なくなる社会になってほしいですね。(菊地 香織)

掲載元:QLife

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