十分な夏休みを取れない人が多い現状 企業にとっても適切な休暇は大切 (2016/8/3 JIJICO)
「夏休み」どのくらい取れますか?
学校の終業式も終わり、子供たちの夏休みはこれからが本番ですが、働く人の夏休み事情はどうなっているのでしょうか?
インターネットリサーチ会社の株式会社マクロミルが、公務員・会社員へ行った「夏休みの取得予定日数調査」では、平均日数は3.9日とのことでした。お盆前に「山の日」という祝日が1日プラスされた効果は薄いように感じます。なかには「取得予定0日」という回答も19%あり、夏休みとは無縁に働く人も多いようです。
また、業種によっても休める日数に差があり、製造業では平均4.7日ですが、福祉・医療系では2.3日と、平均を下回る結果となっています。
ちなみに、この調査での理想の夏休み日数は「7日」でした。理想通りの夏休みを取得できている人は少ないようです。
この調査とは別に、昨年に『労政時報』(株式会社労務行政)のWEBで行った夏季休暇に関するインターネット調査でも、「夏季連続休暇は特にない」という回答が17%以上を占めており、夏休みをとれる企業とそうでない企業が分かれている実態が明らかとなりました。
休暇取得促進に向けての取り組み
昨今のワークライフバランス見直しの動きを受けて、厚生労働省も『プラスワン休暇』を推進しています。これは、年次有給休暇を計画的に活用し、夏休みに限らず連続休暇取得を促す取り組みです。先ほどの『労政時報』の調査でも、連続休暇日数が長い回答では、企業側から従業員に対し、有休の計画的消化を促しているものが多くみられました。
また、一部の大手企業でも生産性向上のため、長時間労働を削減するために働き方そのものを変えていこうという動きが見られます。現状のやみくもにギリギリいっぱいまで働く方向では、有給休暇取得も残業ゼロも達成し得ないからです。
休暇がとりにくい現実と課題
政府や一部大手企業が休暇取得促進や長時間労働削減に取り組んでいますが、なかなか一筋縄ではいかないようです。特に、資金力・人的資源に余力のない中小の企業では、改善が難しいのが現状です。調査でも「上司が休まないので休めない」「会社が繁忙期で休めない」といった回答があり、相変わらずの日本人の“休まず働くことへの美徳感”が残っていることや、従業員が休める環境が整っていないことがうかがえます。
現在日本では、労働力人口の減少によって慢性的人材不足が起きている上に、育児・介護やその他の事情を配慮した働き方への転換や制度再構築など、労働環境を巡る様々な課題が山積しています。
適切な休暇・労働時間でワークライフバランスを保つことが、働く人のモチベーションアップや生産性の向上につながることは、様々な検証から指摘されています。長時間労働→疲弊→生産性の低下という負のループから脱却し、適度な労働→社会のゆとり→生産性の向上という正のループへ移行できるかが今後の日本にとって大切ではないでしょうか。
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