TICAD VI閣僚級準備会合がガンビアで開催!市民社会・NGOの取組みを追う! (2016/6/30 Africa Quest.com)
2016年6月13-14日、第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)閣僚級準備会合の開催地であるガンビア・イスラーム共和国にて「市民社会準備戦略会議」が開催されました。また高級実務者会合では、「ナイロビ宣言」ドラフトに関する議論が行われ、大筋合意となりました。市民社会も全体会において発言の機会を得て、内容の改善もみられました。
日本主導の国際イベント!第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)の開催が迫る!
TICADとは,Tokyo International Conference on African Development(アフリカ開発会議)の略であり、日本政府が主導し、国連やアフリカ連合委員会(AUC)などを共催する国際会議です。1993年以降、過去5回は5年ごとには日本国内で開催されてきました。第6回アフリカ開発会議は8月27日から2日間、ケニアの首都ナイロビで開催されます。今回がアフリカ大陸で初めて開催されることになります。。
TICAD VI閣僚級準備会合に向けた準備戦略会議とは!?
「市民社会準備戦略会議」が6月13-14日、ガンビア・イスラーム共和国の首都バンジュールに隣接する都市であるセレクンダ市の「バオバブ・ホリデー・リゾート」ホテルにて開催されました。同会議には、市民ネットワーク for TICAD (Afri-Can)より世話人3名、アフリカ市民協議会(Civic Commission for Africa: CCfA)より8名、ガンビア市民社会ネットワークである「ガンビアNGO協会」(The Association of NGOs in the Gambia: TANGO)が参加しました。
今回の会議の主な内容は、以下の2点でした。
- ケニアで採択した「非国家主体・市民社会宣言」の改訂増補:主にケニアや東部・南部アフリカの市民社会で起草した同宣言に関して、北部・西部アフリカや開催国ガンビアの市民社会の意見を取り入れて改訂・増補し、アフリカ全体の市民社会が参画した質の高い政策文書へと改定しました。
- 「ナイロビ宣言」に対する「建設的貢献」の策定:「ナイロビ宣言」の文面について、具体的な修正や加筆を提案する「建設的貢献」文書を、会議参加者にて段落ごとに検討して策定しました。
「非国家主体・市民社会宣言」はこちらからご覧になれます
http://prtimes.jp/a/?f=d17161-20160624-4291.pdf
CCfAとAfri-Canは、これら2つの文書を活用し、TICAD共催団体(国連開発計画(UNDP)、国連アフリカ特別顧問室(UNOSAA)、世界銀行、アフリカ連合委員会(AUC))に対して個別の会談を申し入れました。同時に日本政府に対しては、同閣僚会議の日本政府団長である濱地雅一外務大臣政務官、実質上の責任者である丸山則夫アフリカ部長との会談を要請しました。また、要請の際には上記2点の文書を送付し、「ナイロビ宣言」草稿第2版策定の参考として活用するよう要請しました。
TICAD VI閣僚会合においての市民社会の取り組みと成果とは!?
2016年6月15日には、ガンビア・イスラーム共和国セレクンダ市の「カイラバ・ビーチ・ホテル」にて閣僚会合の準備のための高級実務者会合が開催され、「ナイロビ宣言」ドラフトに関する議論が行われました。また、翌日から2日間は、各国の閣僚級の代表が参加し、「ナイロビ宣言」は大筋合意にまで至りました。
市民社会は、ナイロビ宣言の主要論点である「産業化」、「保健」、「社会の安定」の3つの柱についての全体会に出席し、発言を行いました。市民社会が3つの全体会でいずれも発言できたことは、過去のTICAD関連公式会議において初めてのことです。これは会議の運営がこれまでよりも開放的かつ公正に行われたことを示しており、市民社会は今回の取り組みを高く評価しています。
3つの柱に対して市民社会が発言したポイントまとめ!
- 産業化:「産業化」は持続可能で包摂的、かつ強くしなやかな(resilient)ものでなければなりません。また、女性や若者、また障害者など社会的に脆弱な立場に置かれている人々の包摂性が必要であり、産業化の名のもとにアフリカの中小零細農民の土地の権利などが脅かされてはなりません。
- 保健:G7伊勢志摩サミットでの日本の貢献を称揚しました。一方、保健システムの強化、保健緊急事態への対応、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジへの取り組みにはコミュニティ・レベルのボトムアップのアプローチ、市民社会の積極的参画が不可欠です。
- 社会の安定:暴力的過激主義への対応には市民社会、コミュニティ・レベルでの取り組みが不可欠です。また、過激主義は社会の分裂や断裂に根差すことから、対立の修復のための対話が積極的に行われる必要があります。さらに、若者の就労機会の確保、格差の是正、民主主義、良き統治、人権の確立が「社会の安定」の前提となります。
ナイロビ草稿第2版に関する評価はどうだったのか!?
6月16日に発表された「草稿第2版」は、日本の市民社会が事前に提出した「インプット」および、アフリカの市民社会も加わって作成した「建設的貢献」が大幅に取り入れられ、内容的にも相当の改善が見られました。
草稿第1版をみると、日本やアフリカの各国政府は基本的にTICAD本会議を民間セクターの導入に基づく経済成長を軸としたものとしたいと考えていると強く推認されました。一方、草稿第2版には「人間の安全保障」に関わる要素を大きく導入してきました。その背景としては、90年代末以降から続く日本の開発援助の価値観の背骨の部分をなしてきた「人間の安全保障」を軽視できなかったこと、またアフリカ連合委員会やアフリカ諸国政府が市民社会、非営利セクターの重視する声を反映したことが考えられます。
ナイロビ宣言本文は大筋合意に至りましたが、付属文書としてついている「実施手段」部分については、まだ十分に完成されたものとなっていません。これ関しては、今後国際機関、各国政府、市民社会のインプットを得て完成させて行くこととなっており、市民社会としても一層取組みをしていく予定です。8月に開催が迫ってきたTICADに向け、今後も市民社会の声がどこまで取り入れられるかに注目が集まっています。
引用元:PR TIMES
1st Photo Credit: Jorge Lascar via Visual Hunt / CC BY
4th Photo Credit: Afri-Can
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