EUと日本の外国人の労働状況の比較について (2016/6/28 企業法務ナビ)
はじめに
先日イギリスがEUから離脱することが確定的になりましたが、その大きな要因の一つとして移民問題が挙げられています。外国人に関する労働の問題が最近世間をにぎわせています。わが国では、移民ではありませんが外国人の就労問題が少なからず存在しています。
外国人の不法就労の現状について
平成28年6月3日警察・法務・厚生労働の三省庁によって構成される不法外国人対策協議会が主要経営団体に対し、外国人の不法就労防止を呼び掛けています。平成27年から平成28年にかけて2年連続で外国人の不法在留者が増加しています。不法就労が発生する背景の一つとして,稼働先をあっせんする悪質なブローカーや雇用主が存在することが挙げられます。不法残留者は現在わが国では約6万人3千人存在しているといわれています。
参照:ttp://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri09_00025.html
企業側に求められる措置
企業法務の観点からこの問題をみると、はじめに企業が外国人(特別永住者及び在留資格「外交」・「公用」の者を除く)を雇用する場合には厚生労働省へ当該外国人の労働者の氏名、在留資格、在留期間等について確認しハローワークへ届け出ることが義務付けられています。この義務に反した場合には、300万円以下の罰金に処せられることがあります。そして、不法就労外国人を故意または過失によって雇用した場合には入管法によって罰金または罰則が適用される余地があります。
企業側の事前の予防策としては、不法就労外国人かどうかの確認を行うことが挙げられます。不法就労外国人かどうかの判断は、パスポートまたは在留カードの「在留資格」、「在留期間」、「在留期限」を確認するで対処できます。
参照:http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/yokuaru_goshitsumon/gaikokujinkoyou.html
外国人の不法就労を未然に防ぐことが仮にできなかった場合には、企業側としては当該外国人の雇用について過失がなかったと証明する必要があります。事前に行った外国人のパスポートを確認した記録を保存することで注意義務を果たしたという事情になります。また、企業側としては事前に就業規則に違法就労者について
解雇条項を定めておくことで事後の対応がスムーズになるといえます。
コメント
法務省は、少なくとも平成23年から繰り返し外国人の不法就労の通知を出すことによって企業側に、この問題を周知徹底させているといえます。そうすると、年々企業側が外国人が不法就労者かどうかの確認をすべき要請が高まっているといえます。この機会に、外国人の採用制度に関する見直しを検討してみてはいかがでしょうか。
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