「まち」を編みなおす。地域にデザインの視点を取り入れた20の事例 (2016/2/19 ジモトのココロ)
土地の特色を活かした地域づくりが全国各地で取り組まれています。全く新しい価値を創造するプロジェクトもありますが、地域がもともと持っている価値を再認識し、それを今に生まれ変わらせる取り組みに期待が集まっています。この「既にある価値」を改めて見直し、まちを編集して編みなおすプロジェクトに焦点をあてたのが、東京六本木・東京ミッドタウンで開催されている「地域×デザイン -まちを編みなおす20のプロジェクト-」です。
地域にデザインの視点を取り入れた20の取り組み
2016年2月18日から、東京ミッドタウン・デザインハブにて「地域×デザイン -まちを編みなおす20のプロジェクト-」が開催されています。グッドデザイン賞を主催する公益財団法人日本デザイン振興会と、プロジェクトデザインで社会を変革する力を持った人材育成を目指す事業構想大学院大学が共同で企画運営を行う本企画では、地域の活動にデザインの視点を取り入れた20の事例を紹介しています。
会期中にはプロジェクトの事例展示だけでなく、まちの編集に関わる方々のトークイベントも実施。自治体の取り組みだけでなく、地域を活かした取り組みを行う民間企業の事例などもこちらで披露されます。
27日~28日にかけては全国各地からプロジェクトの出展者の方々が来場し、来場者とのコミュニケーションや新しいネットワークの機会をつくる「つながるまつり」も開催されます。
今回は20あるプロジェクトから、ジモココ編集部が特に注目している事例をご紹介。
地域でかわる、まちの編み方
淡路はたらくカタチ研究島
ジモココでも以前取り上げた「淡路はたらくカタチ研究島」。兵庫県の淡路島における雇用の受け皿として、島の豊かな地域資産を活かした新しいビジネスの創出を目指す、「民」と「官」の協働プロジェクトです。
このプロジェクトの難しさは、「どの事業者でも作れるものを製品化する」という制約。付加価値のある商品を生み出すことはもちろんですが、雇用創出のためにどんな事業者でも作ることができる商品の開発が求められています。
燕三条 工場の祭典
江戸時代から続く金属加工生産の集積地で、優れた技術を持った4000社もの中小企業がひしめく新潟県燕三条地域。普段は閉じられている工場を見学することでものづくりを体感し、さらに現地で即売に結びつけるイベント「燕三条 工場の祭典」が注目されています。イベントのデザインテーマであるピンクの斜めストライプがまちのあらゆる工場に掲げられ、普段は暗く閉塞感のある工場のイメージを払拭します。
「外」と繋がることで、工場自身が「見られている」意識を持つ。この意識改革によって工場の環境改善だけでなく、新たな商品開発のきっかけにもなっています。
石巻工房
「石巻工房」は東日本大震災直後に東京のデザイナーを中心とした有志によって設立された、地域のものづくりのための場。石巻工房ブランドのコンセプトは「スモール・アウトドア」。外でも室内でも使いやすいシンプルでコンパクトな家具は、実は都市での生活にもうってつけ。
ものづくりの場としてだけでなく、石巻の復旧・復興のための場、地域の経済と雇用の創出、コミュニティスペースとしても活躍しています。
これらの事例の他にも独自の哲学でおいしい食をつくり続ける生産者にクローズアップし、特集記事とともに紹介した商品をお届けする「日本食べる通信リーグ」、日本全国35歳以下の若者同士の交流から生まれるイノベーションを起こす「小布施若者会議」など、地域ならではの編み直しプロジェクト事例を紹介しています。
これらの取り組みを知れば知るほど「日本の地域もまだまだ捨てたもんじゃない!」と思わせてくれます。そして今、私たちが生活しているこの場所の可能性についても、改めて考えてみるきっかけになるのではないでしょうか。
あなたならどんな「まちの編集」をしてみますか?
地域×デザイン -まちを編みなおす20のプロジェクト-
開催日:2016年2月18日(木)~3月6日(日)11:00~19:00
会場:東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー5F 東京ミッドタウン・デザインハブ
参加費:無料
申し込み:トークイベントは事前申し込みが必要
公式サイト: http://www.jidp.or.jp/lds2016/