大野から、水への恩返し。海外支援型地域ブランディングに注目集まる  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

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大野から、水への恩返し。海外支援型地域ブランディングに注目集まる (2016/2/9 ジモトのココロ

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街のいたるところで「清水(しょうず)」と呼ばれる美しい水が湧き出ている福井県大野市。大野市民の生活の中にはいつだって清水がありました。まちの財産でありアイデンティティでもある水。水に恵まれた大野市民が「水への感謝」を生み出す、あるプロジェクトが立ち上がったのです。

Carrying Water Project「水への恩返し」

北陸の高い山々が連なる福井県の東部に位置する大野市

北陸の高い山々が連なる福井県の東部に位置する大野市。山に降った雨や雪解け水がじっくりろ過され、湧き水となって街を潤しています。中でも泉町にある「御清水(おしょうず)」は昭和60年に全国名水百選に選ばれたほど。

この水はまちの人々に豊かな作物をもたらすだけでなく、ホタルやイトヨという、きれいな水でしか生きていけない生き物にも住処を与えています。昔から豊かな清水と供に生きてきた大野市。そんな水への恩返しとして始まったのが「Carrying Water Project」です。

このプロジェクトは大野市の人口減少対策の一環として2015年5月から始まりました。大野市を支えてきた豊かな水の恵みについて、国内だけでなく世界に向けて広く発信しようという目的があります。

10月に行われたミラノ万博にも出展

過去50回以上続いてきた「越前大野名水マラソン」では大野の水を給水所に置くなどのPR活動を行ったり、「おおの城まつり」で水鉄砲大会を行ったり、様々な形で「大野=水のまち」をアピール。また、2015年10月に行われたミラノ万博にも出展し、世界に向けて宣伝。大野の水を試飲してもらうと「すごく優しい味」「美味しい!」という声が多く聞こえ、世界にも愛される水だということが証明されました。

支援を通してプロジェクトを広めていく

様々な形で国内外に水の豊かさをアピールしてきた「Carrying Water Project」ですが、その一環として2016年1月、東ティモールの支援を行うことを決定しました。では、ここに来てなぜ「海外支援」なのでしょうか?

「Carrying Water Project」東ティモールへの支援

世界に目を向けると、農作物のための水が足りなかったり、きれいな水が飲めなかったり、まだまだ人が生きていくのに十分な水源が確保できてない地域がたくさんあります。特に東ティモールはアジアで最も「清潔で安全な水源の確保」に苦しむ国と言われています。そして安全な水を手にすることが出来ない小さな子どもたちが、今日も命を落としています。

そんな小さな命を守るため、来年2017年1月よりユニセフが実施する水支援プロジェクトをサポートするかたちで、大野市による東ティモール支援がはじまります。子どもたちが清潔で安全な水を手にすることが出来るようにするのが目的です。

山の湧き水を水道管で麓まで引いてくる「重力式給水システム」の設置や、「大野名水マラソン」などでの寄付の募集。現地の人々と直接触れ合う交流機会などを設けていくことも検討しているそうです。

地域ブランディングの新しい形

Carrying Water Project 水で未来を拓くまち

このプロジェクト、全国の地方自治体では初となる「地域と使途を明確にした支援」なんです。子どもたちへ水を運ぶという東ティモールへの支援を行うことによって、「水で未来を拓くまち=大野市」を世界へ発信し、ブランドを確立していきます。

また、水に困っている地域への支援や交流をすることによって、大野市民が自らのアイデンティティをより深く理解するきっかけを作ります。同時に、目に見える支援を体験することで、水に恵まれた大野市民一人ひとりが「水への恩返し」を行う機会にもなります。まさに、地域の外にも内にも強く影響を与えられるブランディングといえるのではないでしょうか。

新しいブランディングの方法で世界からも注目が集まるであろうこのプロジェクト。大野市の新しい試み、これから大野市と東ティモールがどう変わっていくのか、要注目です。

提供:ジモトのココロ

関連ワード : 大野市 東ティモール 福井