窃盗の犯人が未成年だった場合の損害賠償請求はどうなるの?  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

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窃盗の犯人が未成年だった場合の損害賠償請求はどうなるの? (2016/1/11 法、納得!どっとこむ

関連ワード : 法律 

Q.

 今年の2月中旬ごろ、深夜に家に侵入され現金約8万を盗られました。その犯人は、警察の方がマークしており、10月下旬に他の家に侵入している所を現行犯で逮捕されたらしいです。ちなみに、その犯人は19歳の未成年でした。余罪が結構あるらしく、私の家に侵入したのをなかなか自白しなかったために、時間が掛かったらしいです。

 未成年に対して慰謝料は請求できないと思いますが、その親に、慰謝料を請求するようになるのですか?あと、その加害者の親は元自治会長です。自治会費を勝手に使い込んで解任されましたけど・・・。家は団地内で1番大きいと思います。加害者の弁護士とお話しする予定があり、慰謝料は300万で考えておりますが妥当でしょうか?

(30代:男性)

A.

泥棒 まず、窃盗などによって被害を受けた場合、その犯人である加害者に対しては民事上の損害賠償請求が可能です。法律の制度で言うと、不法行為責任に基づく損害賠償請求となります(民法709条)。

 乳幼児などで責任無能力者とならない限り、基本的に未成年であっても本人に対して損害賠償請求をすることになります(民法712条)。

 今回のケースであれば加害者は19歳でほぼ成年であることから、責任能力はあると判断されるため、本人に請求することになると思われます。

 民法714条において、監督者責任を問える規定がありますが、この規定は加害者が責任無能力者であることを前提にするものです。

 したがって、基本的には未成年の加害男性本人に対して損害賠償請求をすることになります(もっとも相手方の資力の都合上、実際の支払いを保護者に求めるということは実務上十分にあり得ます)。

 不法行為責任の追及は、相手方の行為によってご相談者様の権利が侵害され、その結果損害が生じたという要件を満たせば、加害行為によって生じた損害の賠償を請求することが可能になります。家に侵入されて窃盗されたのであれば、当然に要件を満たすものと考えられます。

 ただ、注意点としては、損害賠償請求をしうる範囲は、基本的に「加害行為と関係を有する損害」という事です。

 今回のケースであれば、盗まれた8万円が中心となります。そのほか、たとえば侵入時にドアや窓を壊されていたら、その修繕費用などです。

 加えて、慰謝料請求が可能ではないかと思われますが、裁判で認められる慰謝料は正直に申し上げて、ご相談者様が考えている300万円には達しないと考えられます。

 慰謝料の内容としては、

  1. 平穏な生活を害された点についての精神的苦痛と
  2. 物やお金を失ったことによる精神的苦痛

が考えられますが、物やお金を失ったことによる精神的苦痛は、その物やお金が戻ってくれば癒されるという考えが強く、盗まれた金額が戻れば慰謝料はほとんど取れないという実務上の運用がなされています。

 したがって、認められる慰謝料は(1)の部分が中心となりますが、数百万円という金額にはならないのが通常です。

 損害賠償の金額について過度な期待は禁物ですが、加害者側の弁護士と面談されるとのことでしたらきちんと交渉をすることが必要だと考えられます。

提供:法、納得!どっとこむ

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