女性議員、無理やり増やすべき?女性議員の本音に迫る―WOMAN SHIFT覆面座談会 (2017/4/14 WOMAN-SHIFT)
政治分野における男女共同参画推進法案が今国会で成立する見込みということで、「政策実現ができる女性議員を増やす」ことをミッションとする若手女性議員の超党派ネットワークのWOMAN SHIFTメンバーによる座談会が行われました。
女性議員増へ、政党に目標設定促す
2月25日付の東京新聞に「男女候補数『均等』に 法案成立へ 政党に目標設定促す」との記事が掲載されました。記事の中では「国や自治体の政策立案に多様な意見を反映するため、女性議員を増やすのが狙い。政党や政治団体に対し、候補者数の目標を定めるなどの自主的な取り組みを求める。国や自治体にも、国内外の実態調査や情報の提供、分析などを求めている」とあるけどどう思いますか?
女性議員は増えたほうが良いけど、「させられる」のはNG
- Bさん
- 「政策実現ができる女性議員を増やす」というミッションがあるので、それはそう!だけど・・・。
- Cさん
- ただ女性を増やすってだけだと、タレント議員とか、美人とか・・・そういう人がとりあえず、議員に「させられる」だけになってしまう。そこで、タレントとして活躍だけして、「政策は俺たちが決めるから!」と名ばかりになる可能性があって。だから、パーセンテージよりも先に私たちがやっているような勉強会とか、無料で超党派で女性議員を増やす塾とかやってくれたりしたらいいのに。
- パーセンテージにこだわるといくらでも抜け道はあるから。そこに固執しないでいいと思う。いきなり同数じゃなくて均等はやりすぎじゃないかな?
- Bさん
- 懸念するのは、「女性だから」って議員になった人が、何もできなくて「やっぱり女性はだめだ!」となってしまうのが怖い。そういうオチになる気がする。本当にやる気がある女性を発掘するのは本当に難しい。
議員になる前もなった後もハードルが高すぎる
- Aさん
- しかもハードル高いじゃない?選挙のハードルも高いし、なってからのハードルも高い。
- Bさん
- そう。だからそこを環境整備するほうが先の気もするんだけど・・・。選挙も含めて議員をやってきた経験を踏まえてもそう思う。
- Aさん
- 環境ってなんだろうね?
- Cさん
- 正直言って、朝駅に立っちゃだめ!とか、週末講演会開かないとか・・・そういう規制をしてほしい部分はある。
- こんなに酷な仕事ないよ。やっぱり。産休・育休の定めがない。給与は成果とは関係なく一律。真面目に働いたら下手なブラック企業よりもきついと思う。市議・区議レベルだと自分で決められるからそこまでではないかもしれないけど、国政レベルになると背負うものが多すぎて手も抜けないと思う。しかもたまに、罪にも問われるし。
- Aさん
- たまにどころじゃない気がするよね。全部細かく見られて、チェックされる。「じゃあ他の社会変える方法選ぶよ!」ってなってもおかしくない。
- 全員
- そうなっちゃうよね~。
- Cさん
- でも、人数が増えたら変わってくると思う。鶏が先か卵が先かというのはあるけど、本当に均等になれば、環境整備も進むんだよね。進むんだもんね。
- Dさん
- 進む!だって、対象者がいなかったら、「別にいまはいいんじゃない?」ってなるもの。
女子高に行くと男子トイレが少ない、そんなレベルから
- Aさん
- たとえば女子校行くと男子トイレが少ないとか。国会行くと個室あるのか?とか。たぶんそういったレベルの話からだと思うんだよね。あと、深夜残業とかも役所泣かせとか、マスコミもひどいじゃない?紐付いている業界が全部そうなっちゃうから。そういうのも、私だったら子どもがいるから、帰りますってなる。帰らないと子どもは誰が迎えに行くんだってなるから。
- Eさん
- 党でも目標を掲げているけど、そのときに「リスクもありますよ」「こういう現実もありますよ」ってことを並行してきちんと伝えないと、その人(候補女性)の人生もかかっているわけだし、党の責任にも名誉もかかっているわけだから。
- ただ単に候補者を集めるだけではなくて、実際の仕事の理解とかも進めていかないと、「実際に選挙にはお金がかかる」ことや「夜のつきあいが多いこと」など、なんとなく・・・私でもできそう!って簡単になってしまうと、なってから苦労すると思う。
- Dさん
- 確かに人数が増えれば環境が変わってくる。最終的には質の高い女性が増えたら変わっていくけど、形だけ女性が増えても変わらない。きちんと意見が言えて交渉ができる女性議員が増えないと環境も変わっていかないよね。
- Aさん
- 現実的に「政策を実現できる」ということがポイントなんだよね。ネゴシエーションもできる、社会的意義もわかっている女性議員が増えたら変わるよね。
- Dさん
- うん。信用を落としてしまうような人がいることも確か。男性にもいるけど。「目標数字」にばかりとらわれている気がする。
- Aさん
- 現実問題として、次の統一地方選挙に女性議員を半分出しますってなったら、今現職がたくさんいる地域はどうするんだろう?党にもよるだろうけど、現職を下ろすのか?とか。
- Cさん
- 均等という言葉をうまく使って幅をもたせたというところはあるのかな?
- Eさん
- 気持ちはわかるし、できるならやったほうがいいと思うけど、現実問題は難しいと思う。
- Cさん
- 女性候補者1人見つけるのも大変なのに。男性でも見つけるの大変だよね。
- Bさん
- それこそ、議員減らしちゃえばいいんじゃないの?
仕事の範囲が広すぎて、行き先を見失うこともある
- Aさん
- それは議員の仕事内容とか、議員とは何か?に関わってくるよね。少数精鋭でプロの集団にするのか、幅広い住民の声を聞くために多くして、夜とかに議会を行って、ただし専門性はそこまで高くは求めないふうにするのか。
- Bさん
- たとえば、議員力検定ってあるよね。あれって議員なら誰でも知っていたほうがいい内容だと思うんだよね。だけど、議会事務局で教えてくれるわけでもなく、会派で教えてくれるわけでもない。自助努力というのではなく、一定程度受けなさいよって思う。
- あとは、議員の仕事の範囲があまりにも広すぎる。私が半年で鬱みたいになっていたときに、「何するんですかね!?議員って!?何が仕事でしたっけ!?」と。あれだけ選挙頑張って議員になったのに。自暴自棄になってた。「これだったら民間戻ったほうがマシだ」って思ってたもん。
- Aさん
- 私もそうだった!議員になってすぐの夏、激やせした。
- Bさん
- 私は6月!早かった~!!(笑)
- 結構しんどかったけど、議員になった人が私たちみたいにならないためにも、WOMAN SHIFTが根を張り、支えていきたいよね。
- Aさん
- そうだよね。私たちはそういう人たちをサポートしていける体制を整えたいよね。
政党の役割は・・・?
党として、選挙後のサポートが必要
- Cさん
- あとは党としても、しっかりとサポートしてほしいよね。それぞれの党がどうやっているのかわからない部分もあるけど。受かって自主的に頑張れ!というのではなく。
- Bさん
- 国会議員はベテランの秘書さんとかつけてくれるんじゃないの?
- Cさん
- 国会議員はあるかも。でも地方議員はないよね。
- Eさん
- うん。受かったら終わり。
- Dさん
- 党として受かったらどういった政策を実現してもらおうとかビジョンがないのに、出そう出そう!ってだけで出しちゃだめだと思う。
- Bさん
- 一応青年委員会とか、党大会とかで一致団結するんじゃないの?
- Cさん
- 青年委員会とかそういうネットワークとかはあるよね。でも、男女共同委員会とか言っているのに、女性は必須で男性は任意とかいうやつもあったりする。それはおかしいと思う。その方針が許せない。
男性も悩んでいる・・・
男性を「敵」に回したいわけではない
- Aさん
- うん。それに、同じ女性議員でも若干の世代の違いはあると思うんだよね。「ザ・フェミニズム」といった感じだったり。そこも大事だし、今までそういう方々が切り拓いてくれてきてくれたからこそ、「今」がある。だけど、私たちはそれをしたいというよりは、「私たちのままで出来る限りのことをやりたいの。男性もそれでいいじゃない?」っていう考えなんだよね。
- 全員
- そうそう。
- Bさん
- うまく言葉に表せないけど。たぶん、「女性の権利が――」という人たちに男性からの嫌悪感もあって・・・。
- Aさん
- そこを敵に回してまで主張したいわけではなくて、男性も女性も枠にとらわれないで楽に生きればいいんじゃない?っていうような・・・。
- Bさん
- 全体的に私たちの世代ってあまり戦おうっていう世代じゃないよね。男性も弱ってきているから(笑)。私たちの仕事も肉体労働と家事とか男女の違いもなくなってきていて、パソコン1台持っていればどこでも仕事ができる時代になっていて、男も女も関係ないと!脳みそ勝負です!ってなってきたよね。どちらかというと男女は手を結べることはあるよね。
- Aさん
- 私たちが議会に入って困ったことを、男性議員も結構困っているし、悩んでいたっぽいよね。
- Cさん
- セクハラとかね!
- Aさん
- あるって言ってたよ!うん。若手の男性とか、普通に女性から腕組まれるとか聞いた。
- Cさん
- 他にもいろいろと・・・たとえば、女性から男性の手を自分の胸元にもっていって触らせられるとか・・・。
- Aさん
- セクハラもあるし、今までの社会(民間経験)との違いにすごく戸惑っていたりしてね。
- Eさん
- 女性だけの悩みもあるし、生きてきた世代の違いもある。
性別を超えて共有できる悩みもある
- Dさん
- それにプラスして政治の世界特有の文化みたいなところに対峙していく新しい人たち、というスタンスもあるかもしれない。
- Eさん
- そういう意味では、同世代の価値観があう男性とも手を組んでいかなければならないし、共有したい悩みもあるよね。
- Aさん
- 今後も男性も参加できるWOMAN SHIFTの勉強会も開催したいよね。何回かに1回とか。
- Bさん
- 確かに、いい視察をしているよね。
- Aさん
- どの辺がいい視察?
- Bさん
- どれもこれも。質問が出るのがいいよね。質問を聞くとそういう視点があったのか!と。
- Aさん
- 違う自治体の同じ関心を持つ議員と視察に行くと、そこの自治体はそうなんだ!視察した先の自治体はそうなんだ!と一石何鳥も得られたりできるよね。視察行って、その後共有する時間を持つというのはいいなと、WOMAN SHIFTのやり方を自画自賛してみる(笑)。
- Bさん
- 仕事だと1年目がやるべき仕事とかがあるよね。
- Aさん
- 教える人もいる!OJTとか。
- Bさん
- 例えばだけど、真面目な人と思われるような人がやっているようなこと。例えば議会が終わったら議会報告会をやり、議会報告レポートを出し・・・まずは4回くらいやってみて、そこから自分流にアレンジしたらいいよ。っていうのがあったらいい。
- Aさん
- そうだね。私たち(WOMAN SHIFT)のスタンダードでもいいから、出したほうがいいのかも。
- Bさん
- 議員の仕事をわかりやすく噛み砕いて教えたらどうですか?ってある人に言われたのよね。
政党のメリットは?
政党に所属するメリットがあまり感じられない
- Cさん
- 今は政党に所属するメリットってそんなに多くないけど、政党がしっかりとサポートしてくれるという体制を整えてくれれば、無所属の人たちも政党に入ろうというきっかけになると思う。だって、いま政党に所属したからって、特に地方議員の人はメリットないでしょ?
- Bさん
- 全く入ろうと思わない!
- Aさん
- 一番最初の選挙はあるよね。公認をもらって、保証があるという状態をつくるメリット。
- Bさん
- 私だったら、議員志望者に「無所属で出たほうがいいですよ」って言っちゃうもん。なぜならば、私は選挙のやり方知っているし。だったら、のちのち楽よ~って。そこは、勝負しあっていかないと。
- ただ、党にいるメリットは、衆議院議員・参議院議員とコネクションがあるとか都議とかとのコネクションとかあるよね。もちろん選挙とか手伝わなきゃいけないというのはあるけど。それなりに、選挙って手伝えば手伝うほどいろいろわかるから、それはそれでいいことだと思う。
- Cさん
- 今は、なんかそこだけになってしまっていて、逆に選挙でも政党に所属しているメリットがないと感じしまえば、最終的に政党に所属する選択肢を持たないよね。
- Aさん
- 最初の選挙が乗り切れるなら無所属でもいいんじゃないかな?
- Bさん
- でも国政ってなるとそうはいかないよね?このあと自分のステップって意味でも気になる。よく、都議になるんですか?国政行くんですか?って聞かれたりするけど。どうしようかな、と思って。6期7期(24~28年)も地方議員をやりたいか?と言ったら・・・。
- Aさん
- そうなんだよね。それも選択肢の一つだけど、自分がやりたいかと言ったら・・・。
- Cさん
- ない。絶対ない!
- Bさん
- 議員になった後に次どうするの?というのはある!!
議員になったあとのキャリアも課題?
議員の「次のキャリア」への不安もある
- Aさん
- 次のキャリアが見えないというのは本当にあるよね。すっごく怖い。若くしてなったらずっとやるのか?と。
- Cさん
- ぞっとする。ずっとやるのかって考えると。
- Bさん
- みんな議員をやめた後、なんとかなっていると思うんだけど、どうなの?
- Cさん
- 人によると思うけど・・・。
- Aさん
- 議員をやればやっただけ、ビジネスのキャリアが中断しちゃうよね。
- Bさん
- 一般の感覚を失いたくない。先生とこの歳で言われて、お父さんくらいの年の人に、「これまとめてくださいよ」とか横柄な、えらい生意気なことを言ってるから・・・そこは、民間にいて、経営者に「これはいかがでしょうか?」っていうのもないといけないと思う。
- Dさん
- ビジネススキルという意味でも絶対錆びついていると思う。どうしよう!?
- ママインターンって、しばらく育児で仕事から離れていた人向けの企業でのインターンがあるけど、議員もそういうのやったほうがいいんじゃないかって思うんだよね。学生を受け入れるのではなく、自分が企業にインターンに行くの。
- Bさん
- やっぱりビジネススキルあったほうが、役所も話を聞いてくれない?ちゃんと数字を見せると結構聞いてくれる。
- Cさん
- うん。そういう部分はあるけど、そこだけでもないかな。感情論もある。
話が大分いろいろなところに広がりましたが、最終的に言いたいことは?
女性が「議員になりたい」と思えるような環境づくりを
- Aさん
- 結局は、女性議員が増えるのはよいこと!でも、質も大事。
- Bさん
- そうそう。ただ増えればいいわけじゃないよねということと、増やしてからのサポートはもっと大事。
- Eさん
- あと、議員になりたい女性を増やすのも大事。議員になりたいと思えるような社会環境も!
- Cさん
- そうだよね。民間と行き来ができるような環境づくりも必要だなと思う。
- Dさん
- 政党がもっと頑張って欲しい!そして、私たちWOMAN SHIFTの取り組んでいることもとても重要だよね。
- Aさん
- がんばろっ!今までは、WOMAN SHIFTは女性議員をやめさせない!っていうことでサポートに力を入れてきたけど、これからは女性議員を「増やす!」って方にもとりくみたいよね。
- Bさん
- そうそう。減らさないだけだと増えないから。大学や高校での講演や、議員になりたい女性向けの講座なんかも取り組みたいね。
- Aさん
- いま、日本政策学校さんと一緒に「女性議員増やそうプロジェクト」を進めていて、受講生の方たちがチームで動いているんだよね。
- Cさん
- 女性議員を増やすためには何が必要か?ということを考えて、実際に取り組んでみるというプロジェクトで2017年5月28日にはその取組結果の発表があるんだよね?
- Aさん
- どんな結果になるか、楽しみだね。WOMAN SHIFTとしては4月末に全国研修会も実施して、全国の若手女性議員ともつながるし。
- Bさん
- 議会によって風習も本当に違って、興味深いし、その中でもいろいろと知恵とかスキルを共有できるといいよね。
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