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無投票、低投票率、統一地方選挙後半戦を振り返る (2015/5/8 政治山)

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4年に一度の統一地方選挙。4月12日の前半戦に引き続き、後半戦の選挙が26日に終わりました。今回の統一地方選挙後半戦について、地方自治の研究をしている東京大学大学院情報学環交流研究員の本田正美氏に振り返っていただきました。

投票箱

今回の統一地方選挙後半戦の特徴とは

――統一地方選挙前半戦では、投票率の低さが注目を集めました。

「残念なことに、後半戦で実施された選挙でも投票率の低さが目立ちました。国政選挙を含めて、投票率の低下に歯止めがかからない状況になっているのだと思います。」

――前半戦では無投票になってしまった選挙にも注目が集まりました。

「後半戦でも無投票となった選挙が多くありました。県庁所在地の津市と長崎市では、市長選挙が無投票になりました。後半戦で実施された市議選の総定数に占める無投票当選の割合は過去最高になったとされています。一方で、東京都の21区では、区議会議員選挙が実施されましたが、こちらはどこも激戦になりました。激戦の選挙と無投票の選挙の二極化が起きているのかもしれません。」

――議員のなり手不足ということを前半戦の振り返りでは指摘されていましたが、そのような兆候が見られた選挙はありましたか?

「後半戦で個人的に注目していたのは北海道栗山町議会議員選挙です。地方議会関係者の中では、栗山町議会は全国に先駆けて議会基本条例を制定するなど、熱心な議会活動を展開している議会として知られています。この栗山町議会議員選挙が、今回は定数と同じ12人しか立候補者がおらず、無投票となりました。栗山町議会のような議会において無投票になってしまうということで、きちんと議会活動や議員活動が行われているところでは、その負担の重さから、その担い手が不足し始めているのではないかと思います。」

地域における争点を明確化する

――栗山町議会の例が紹介されましたが、その他に注目すべき選挙はありましたか?

「統一地方選挙前に寄稿した「統一地方選挙の重要な争点~人口減少と公共施設の更新をどう考えるのか」(2015/3/17)で、市庁舎新設の是非が争点となる熊本県人吉市長選挙を紹介しました。この人吉市長選挙では、現職の田中信孝候補を新人の松岡隼人候補が600票ほどの僅差で破りました。無投票となった首長選挙もありましたが、人吉市の事例のように、明確な争点を掲げた候補者が現れれば、現職候補が敗れるような事態も起きるのです。」

――地域における争点を明確にすることが選挙を盛り上げると言えるのでしょうか?

「特に首長選挙においては、その地域がどのような課題を抱えており、それに対して首長としてどのように向き合っていくのかを各候補者が明確に示して選挙戦を戦ってくれないと、多くの場合は現職の首長の信任投票になってしまい、極端な場合は対立軸が示されずに無投票になってしまうのだと思います。」

「議員の選挙については、各候補者が専門とする分野や出身とする地域を持っており、特定の争点をめぐって議論するといったことが起こりにくいという側面もありますが、議会を構成する議員として、その地域をどのような方向へ導いていきたいのか、有権者に分かりやすく示すことが求められているのだと思います。それが分かりにくゆえに、どの人に投票して良いのか分からずに棄権してしまうという人も多かったのではないでしょうか。」

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本田正美氏【取材協力】
東京大学大学院情報学環交流研究員 本田正美

1978年生まれ。東京大学法学部卒。2013年、東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。現在、東京大学大学院情報学環交流研究員。専門は、社会情報学・行政学。特に電子政府に関する研究を中心に、情報社会における行政・市民・議会の関係のあり方について研究を行っている。共著本に『市民が主役の自治リノベーション』(ぎょうせい刊)がある。
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