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[用語解説]按分

小数点付き得票数のなぞ (2014/5/8 政治山)

関連ワード : 按分 用語解説 

 地方自治体の選挙管理委員会のホームページに掲載されている選挙結果を見ると、小数点のついた得票数を目にすることがあります。選挙では1人が1票ずつ投じているのに、なぜ得票数に小数点がついているんだろう?と疑問に思ったことはありませんか。

 選挙では、投票用紙に姓または名しか記載されておらず、どの候補者に投票したか分からない票であっても、その票は有効と判断されます(公選法第68条の2)。1つの選挙区に同一の姓または名の候補者が2人以上いる場合、どの候補者に投票したか判断できないこの有効票を、各候補者の得票数に応じて比例配分することを按分(あんぶん)といいます。

 按分が発生した場合は、どの候補者に投票したか明確な票に、按分した票を加算して得票総数とするため、小数点が発生するのです。

ちょっとややこしい按分の計算方法

 按分の算出方法は、按分の対象となる候補者の確定得票数(その候補者の得票だと明確な票数)の割合に、按分の必要がある有効票を乗じます。

■計算式
按分の必要がある有効票数×(按分する候補者の確定得票数÷按分する候補者全員の確定得票数の合計)

■按分の例

(1)ある選挙に、次の3人が立候補しました。姓を「アカサカ」と読む候補者が2人います。

・政治山 ごろう
・赤坂 三郎
・あかさか 太郎

(2)開票の結果、有効投票総数は27,500票で、どの候補者に投票したか明らかだった票と、「アカサカ」とだけ書かれたどちらに投票したか判別できない票(按分が必要な票)の内訳は、下記の通りです。

・政治山 ごろう・・・・9,500票
・赤坂 三郎・・・・・・・・9,000票
・あかさか 太郎・・・・8,000票

按分が必要な票数(アカサカ)・・・1,000票
有効投票総数・・・・・・27,500票

(3)按分が必要な票は、どの候補者に投票したか明らかだった票を元に比例配分されます。それぞれの得票数は、赤坂三郎さん9,000票、あかさか太郎さん8,000票、2人の合計17,000票を元に計算します。

・赤坂三郎さんの按分票
 1,000票×(9,000票÷17,000票)=529.411票

・あかさか太郎さんの按分票
 1,000票×(8,000票÷17,000票)=470.588票

※小数点第4位以下は切り捨て

(4)確定していた有効得票数と按分票を合計して、各候補者の得票総数が決まります。

・政治山 ごろう・・・9,500票+    0票=9,500票
・赤坂 三郎・・・・・・・9,000票+529.411票=9,529.411票
・あかさか 太郎・・・8,000票+470.588票=8,470.588票

(5)按分票を加えた結果、赤坂三郎さんが政治山ごろうさんを29.411票上回り、次のような得票順になりました。

1.赤坂 三郎・・・・・・9,529.411票
2.政治山 ごろう・・9,500票
3.あかさか太郎・・・8,470.588票

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