都市間連携の在り方について首長らが議論 「地方分権の確立に向けてPartII」開催 (2013/11/6 政治山)
これからの地方分権について首長らが議論するシンポジウム「地方分権の確立に向けてPartII~連携の深化と財源・人材について考える~」が5日、中央区銀座の時事通信ホールで開催され、自治体関係者ら約200人が議論に耳を傾けた。基調講演に早稲田大学大学院教授の北川正恭氏が登壇し、パネルディスカッションでは新潟市長の篠田昭氏ら3首長が議論を交わした。主催は指定都市市長会、中核市市長会、全国特例市市長会。
まず北川氏は、「地方分権で求められる連携・財源・人材」というテーマで講演を行い、6月に出された総務省の第30次地方制度調査会の答申に触れつつ、大都市制度や住民自治のあり方について語った。いじめ問題に端を発した滋賀県大津市の教育委員会の責任問題については、教職員の人事権が県教育委員会にあり、市にはない「全国が抱える問題」として、政令市、中核市、特例市3市が協同で一定の方向性を出すべきだと述べた。また、地方政府の確立に必要なこととして、「歳入の自治」を挙げ、「補助金をもらえば、国の追認団体にならざるを得ない。地域は、自らの知恵で宝を磨いて商品を作り、産業を興す。財源確保を本気で考えなければならない」とした。また、法の支配の観点から、弁護士や公認会計士などを任期付職員として採用する専門職採用をすすめるべきだと語った。
続いてパネルディスカッションでは「地方分権の確立に向けて~連携の深化と財源・人材について考える~」として、指定都市市長会の新潟市長 篠田昭氏、中核市市長会で副会長を務める奈良市長 仲川げん氏、全国特例市市長会からは副会長の茅ヶ崎市長 服部信明氏が登壇した。オブザーバーとして北川氏が参加、モデレーターは時事通信社解説委員の明石道夫氏が務めた。
篠田氏は、指定都市市長会として主張している国や道府県からの権限・税財源委譲の要望と、新潟県・市が進める「新潟州構想」とその成果を語った。仲川氏は、今後の都市制度のあり方について、中核市と特例市のさらなる連携と統合を提案。さらに、政令市や中核市を核とした広域連携、小規模自治体同士の広域連携など、基礎自治体同士で横につながり、広域連携の「圏域(行政圏の範囲)」を形成することでもたらされる自立的な地域経営と活性化について説明した。服部氏は、現在、特例市が直面する課題について、特例市のメリットが希薄化していることや、人口減少により移行後に人口要件を下回る市もあると指摘。茅ヶ崎市が属する神奈川県が、県下19市14町村のうち、3つの政令市と1つの中核市、5つの特例市を抱えている現状を共有。茅ヶ崎市としては、藤沢市・寒川町と「湘南広域都市行政協議会」という法定協議会で環境・文化、産業分野で連携し、また寒川町との間では事務効率化と組織強化を目指して広域連携をスタートさせた。今後は、市による保健所の設置を4年後の2017年4月を目標に進めていくとした。
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