政府がビール税と発泡酒・第3のビールの税の見直しに着手 株式会社フィスコ 2014年7月7日
政府・与党は4日、税率が異なるビールと発泡酒、第3のビールの税の格差を縮小する方向で酒税の見直しに着手する方針を固めた。年末に決める2015年度税制改正大綱に改革案を盛り込みたい考えという。見直しが実現すれば2006年度以来となる。
ビール類の税率は原料に占める麦芽の含有量などに応じて変わり、現在350mlミリリットル当たりビール77円、発泡酒47円、第3のビール28円となっている。今回の見直しでは、ビールの税率を引き下げる一方、発泡酒と第3のビールの税率を引き上げることが有力となっている。
ビールの出荷量が年々減少傾向にある中、発泡酒や第3のビール売り上げが増え、酒税の税収が減っていることが原因だという。1994年度に2兆1200億円だった酒税の税収(日本酒なども含む)は2013年度には1兆3700億円に減少している。ビールメーカー大手5社で設立されたビール酒造組合は、ウイスキーやワイン、清酒、焼酎に比べてもビールの税金が高いことや、諸外国と比べてもビールの税率が高いことなどを訴えてきており、ビール類の税率が極めて高いとの認識では一致しているため、ビールの税率引き下げに関しては業界からの反発もないと思われる。
しかし、発泡酒や第3のビールの税率引き上げは、ビールより安いからとビールを発泡酒や第3のビールに代えて楽しんでいた消費者や、企業努力によって発泡酒や第3のビールをビールと同じような味や風味にして販売量を伸ばしてきたメーカーからの反発は必至だ。政府は4月の消費税率引き上げにあわせてもビール類の税率変更を検討したが、意見がまとまらないことから見送っているため、今回の見直しは実現したいと考えているだろうが、たくさん飲まれているものからたくさんの税金を取ろうとする政府の姿勢に批判も予想され、調整は厳しそうだ。 <YU>
- 株式会社フィスコは、投資支援サービス等を提供するプロフェッショナル集団です。2013年4月19日に、インターネットを使った選挙活動を解禁する公職選挙法の改正に伴う新たなコンテンツ提供を発表し、各政治家の発言要約や影響分析のコンテンツ提供を開始しており、その付加価値向上に取り組んでいます。