週刊ダイヤモンド今週号より~みずほ銀行が露呈した「面従腹背」の当局対応 株式会社フィスコ 2013年11月5日
みずほ銀行(みずほFGの子会社)の暴力団融資問題が長期化の様相を呈してきています。多くの疑問を残したまま、「問題意識の希薄さ」ということに原因を集約させ、性急な幕引きを図ろうとしたことが要因になっています。
「情報は担当役員止まりだった」と金融庁に事実と異なる報告をした問題も、問題融資の経緯に詳しいある行員が「取締役会やコンプライアンス委員会には報告していない」と行内のヒアリングで答えたことから、なんら資料を確認することなく、その証言を「軽信し、一担当者に過ぎない行員の記憶のみに依拠して(金融庁に)回答した」としているようです。その報告書には、佐藤頭取の押印もあり、銀行全体として、いかに監督当局を軽視した対応をとっていたかがうかがえます。
コンプラ担当の小池役員がなぜ11月1日になって辞任することになったのかも疑問です。そもそも問題融資の報告が小池常務で止まっていたことは、今年の2月時点で金融庁からすでに指摘されており、もっと早い段階で処分しても良かったはずだと指摘されています。そこまで問題は大きくならないといった金融庁軽視の対応であったともみられ、佐藤頭取の経営手腕を評価していた金融庁にとっては、一連の対応が「面従腹背」と映っているかもしれません。
第三者委が調査報告書の中で指摘したのは、コンプラ部の「聖域」化であり、これには、みずほ銀行に深く根を下ろしている旧行意識が弊害になっているとみられています。この閉鎖性は、異常ともいえる事態を過去に引き起こしています。販社チェックの結果などについて、内部監査部門がコンプラ部に関係資料の開示を求めたところ、「拒否」されたというものです。銀行のコンプラ部とオリコは、旧一勧が実験を握っているという客観的な状況を踏まえると、旧行意識そのものが、こうした閉鎖的な雰囲気につながってしまっている可能性が高いとみられます。 <NT>
- 株式会社フィスコは、投資支援サービス等を提供するプロフェッショナル集団です。2013年4月19日に、インターネットを使った選挙活動を解禁する公職選挙法の改正に伴う新たなコンテンツ提供を発表し、各政治家の発言要約や影響分析のコンテンツ提供を開始しており、その付加価値向上に取り組んでいます。