NYの視点:今回の日本経済の危機脱却は本物か 株式会社フィスコ 2013年11月1日
米国財務省は半期為替報告を公表した。その中で、米国は日本の内需の動向を綿密に監視していく方針を表明。この報告に続き、ルー米財務長官は声明の中で、「JAPAN APPEARS TO BE TURNING AN ECONOMIC CORNER日本経済は危機を脱したようだ」との見解を示した。米国の財務相が最後にこのような発言をしたのは2003年の12月。10年前、当時の財務長官であったジョン・テイラー氏は講演で、ルー米財務長官と同じように「日本経済は危機を脱した」と述べた。元長官は、日本経済への見通しでその前10年間の悲観的な見通しから楽観的な見通しに転じた理由として、金融政策を挙げた。日本銀行は2001年3月、消費者物価が0%を上回るまでゼロ金利政策・量的緩和政策を継続していく方針を示した。元長官は「デフレ終了を宣言するのは時期尚早だが、正しい方向だ」と、述べている。
ルー米財務長官による楽観的な発言も、テイラー元長官と全く同じ理由だ。日本銀行は本年4月の金融政策決定会合でデフレ脱却を目指し大量の資金を市場に供給していく量的・質的緩和を導入。「消費者物価の前年比上昇率2%の物価安定の目標を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する」と表明した。10年たった今でも状況はまったく変わっていないということになる。海外投資家の間で、果たして今回の政策が日本経済にとり本物の転換点となるようなものかどうか懐疑的な見方も根強く、ドル・円が伸び悩む要因となっているようだ。
ドル・円は2002年2月に135円01銭まで上昇後、2011年10月に75円82銭まで下落し史上最安値を更新するまで下落基調となった。 <KO>
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