「塩崎厚労相」で株高に 期待されるGPIF改革 海外メディアも注目 ニュースフィア 2014年9月5日
3日発表された安倍内閣の改造人事で、田村憲久厚労相の後任に、党政調会長代理と日本経済再生本部長代行を務めてきた塩崎恭久氏(63)が選ばれた。
塩崎氏は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)改革を自民党内で提唱してきた人物で、日銀出身であり、第1次安倍内閣では官房長官を務めている。
【塩崎氏への期待で株価が上昇】
塩崎氏が厚労相に選ばれたとの報道を受けて、3日の株価が上昇したことを海外各メディアは紹介している。これは安倍新内閣の下でGPIFがより多くの資金を株式に投入するとの見方が広がったためだ。
塩崎氏について、野村証券の田村浩道チーフストラテジストは、ブルームバーグに対し、「GPIF改革の急先鋒だ。投資家は改革を引っ張っていくイメージを持っている」と語ったという。
【GPIF改革とは】
ウォール・ストリート・ジャーナル紙(以下、ウォール紙)によれば、GPIFとは127兆円に上る、日本の公的年金(厚生年金および国民年金)の積立金を管理・運用する機関である。
ブルームバーグによれば、安倍首相が6月に策定した新成長戦略の柱に据えたのがGPIF改革だったと述べる。
各メディアによれば、高齢化の進行で年金支給への懸念が高まる中、よりリスクの高い資産への投資にシフトして収益性を高められるよう、GPIFは投資ポートフォリオの見直しを検討中である。具体的には国内株の比率を12%から20%に上げ、国内債の比率を60%から40%に下げるとみられている。
ロイターは、GPIFの保有する国内債の比率が、6月には既に51.9%に下がっていたと報じている。
【塩崎氏の発言】
ウォール紙は、塩崎氏がこれまでも、GPIFの運営形態が変わらないうちに、投資でより大きなリスクを取ることに警告を発してきたし、GPIFでは権限が理事長に集中しすぎていることや、低コストな運営への圧力を受けていることにも懸念を示していたと述べる。
ブルームバーグによると塩崎氏は3日、「GPIF改革は安全で効率的な運用をどこまで、やるのかだ。リスク低減には分散投資が必要だ」と指摘し、「しっかりした運用には強固なガバナンス(組織統治)が必要だ」と述べた。
ただ、各メディアによると、基金の具体的なポートフォリオについては「専門家の議論に任せるべきだ」と語ったという。
GPIFのガバナンス構造を改革する法案は、今月中に召集されると言われる秋の臨時国会に提出され、同じ頃GPIFは新しい投資ポートフォリオを明らかにするものと見られている。
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