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不透明な政治資金の流れをオープンデータ化で可視化する (2015/12/24 島根大学研究機構戦略的研究推進センター特任助教 本田正美)

 毎年この時期になると、政党助成金の受け取りをめぐって、新規政党の結成など離合集散が繰り返されます。

 ところで、この年末という時期は、もう一つ重要な区切りとなる時期です。それは、毎年の政治資金収支報告書の締めが12月であるということです。今年1月から12月までの収支を整理して、来年1月から3月末までに総務省や各都道府県の選挙管理委員会に政治資金収支報告書を提出する必要があります。実際の作業は、来年になってからという事務担当者の方も多いのかもしれませんが、年末にかけて領収書の整理などに慌ただしい政治家の事務所もあるのではないでしょうか。

参照:適正性と透明性の向上が望まれる政治団体の収支報告

政治資金の透明化に取り組むプロジェクト

 この政治資金収支報告書に関して、今年は注目すべき動きがありました。それは今年3月に最終選考があったGoogleインパクトチャレンジで、NPO法人ドットジェイピーによる「クラウドで政治資金の流れを透明化」というプロジェクトがファイナリストに選出され、グランプリは逃したものの、2500万円の助成金を獲得したことです。

 このプロジェクトの説明は、以下のように記されています(「Impact Challenge」より引用)

国民が政治不信を抱く原因となる政治資金の問題の一掃に取り組むプロジェクトです。

国会議員が複数持つことのできる政治団体の会計情報をクラウドシステムで連結させ、オープンデータ化した収支報告をビジュアルでわかりやすくインターネットに公開します。

政治家に健全な政治運営と国民への説明責任を促すために、3年以内に国会議員と多くの地方議員にシステムの活用を求め、政治資金の透明化を目指します。

 政治資金収支報告書については総務省や各都道府県の選挙管理委員会で閲覧可能ですし、一部はWebサイト上にも掲載されています。そのデータを、現在取り組みが進んでいるオープンデータ形式に変換した上で、それを用いて分かりやすく画像化するなどして公開しようというのです。

Googleインパクトチャレンジ

「Googleインパクトチャレンジ」のホームページ

 Googleインパクトチャレンジの応募開始は、2014年11月でした。

 NPO法人ドットジェイピーの関係者の方がご覧になってくださっていたのかは不明ではありますが、私は2014年3月の情報処理学会全国大会で「政治資金に関するオープンデータの現状と課題」、同年5月の情報処理学会電子化知的財産・社会基盤研究会で「オープンガバメントの一環としての新たな政治資金収支報告書公開制度の設計」と、これまで同様のアイデアを研究発表として公表してきました。そのようなアイデアが実際に動き出すということで、個人的にも楽しみでなりません。

2次利用を容易にするデータ公開が必要

 現状でも、政治資金収支報告書は紙ベースでの提出の他に電子的な提出も既に認められています。そして、少なくない事務所が実際に電子的な形式で報告書を提出しているはずです。さらに、総務省などのWebサイト上で主にPDFで政治資金収支報告書は公開されているのですが、そのようなかたちで公開するために、紙ベースで提出されたものについても選挙管理委員会などが改めて電子的に打ち込み直すという作業を行っているはずです。

総務省ホームページで公開されている政治資金収支報告書

総務省ホームページで公開されている政治資金収支報告書

 公共機関が保有するデータを、2次利用が容易な形式で公開するオープンデータの取り組みは日本政府をあげて推進することとなっていますが、この際、総務省や選挙管理委員会も政治資金収支報告書について、そのデータを取り扱いの容易なオープンデータとして公開することを検討して欲しいところです。

 恐らくNPO法人ドットジェイピーは、まず公開されている政治資金収支報告書のデータをオープンデータ化し、そのデータを会計処理システムに乗せることで、政治家の資金の流れを可視化しようと試みているはずです。このオープンデータ化の作業が結構な手間のはずで、全国の選挙管理委員会の協力があれば、その部分が省力化され、会計処理システムや資金の流れの可視化の方法についての洗練化に労力を割くことができるようになるはずです。

 1人の政治家や複数の政治家間、さらには政党の支部間などで資金のやり取りが行われてきたため、政治資金収支報告書をひとつひとつ確認しても、政治家にまつわる資金の流れの全容は把握しにくいのが現状なのです。

 そもそも、政治資金収支報告書が細かに確認されるのは、ある政治家が大臣に就任されるなど、世間的な注目を集めたときだけでしょう。そして、不透明な資金の流れが明らかとなって、その都度謝罪や辞任に追い込まれるということが何度も繰り返されてきました。

 不透明な資金の流れも、会計処理システムを介することで一定程度明らかにすることができます。複雑に絡み合ったものにはなると思いますが、政治家の資金の流れの一覧図を目にすることが出来る日がそう遠くないうちに到来しそうです。

 毎年、政治資金収支報告書に関するオープンデータがWeb上に公開された直後に、政治にまつわる資金の流れが白日の下にさらされることになるのです。

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本田正美氏【取材協力】
島根大学研究機構戦略的研究推進センター特任助教 本田正美

1978年生まれ。東京大学法学部卒。2013年、東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。現在、島根大学研究機構戦略的研究推進センター特任助教。専門は、社会情報学・行政学。特に電子政府に関する研究を中心に、情報社会における行政・市民・議会の関係のあり方について研究を行っている。共著本に『市民が主役の自治リノベーション』(ぎょうせい刊)がある。
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