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[用語解説]ビラ、寄附

蓮舫議員が追及した松島法相の「うちわ」問題の本質とは (2014/10/10 政治山)

 10月7日の参議院予算委員会で民主党の蓮舫議員が追及した、松島みどり法相の「うちわ」問題。松島法相が地元の盆踊りなどで自身のイラストと氏名、政策などを記載した「うちわ」を配布した行為が、公職選挙法で禁じられている「寄附」にあたるとして、その責任を追及されています。蓮舫議員の所属する民主党が松島法相の辞任まで要求する事態となっていますが、いったい何が問題なのでしょうか。

「うちわ」の配布が「寄附」にあたるのか

 公職選挙法第199条では、選挙区内における政治家の寄附行為を禁じています。ここで言う寄附は金銭に限ったものではなく、価値ある物品(通常店舗で販売されるようなもの)も含まれます。

 例えば、政治家が自ら用意した色紙にサインをして配布した場合は寄附にあたりますが、相手方が用意した色紙に政治家がサインするのは寄附にあたらないと解釈されています。このことから、自らの名前を明記したうちわを配布することは、寄附にあたると解釈するのが妥当と言えるでしょう。

厚紙丸型はセーフ?うちわとしても使える「ビラ」

 今回の騒動でもう一つ注目すべきは、問題を追及した蓮舫議員だけでなく与野党問わず多くの政治家が、実際には「うちわ」として用いられることを想定して作成された厚紙丸型の「ビラ」を配布している点にあります。

 公職選挙法第142条では、選挙期間中に配布できる文書図画(ぶんしょとが)の種類や枚数を細かく規定しています。衆院選で配布できる「ビラ」は29.7cm×21cm以内で厚さの制限はありません。この条文を背景にうちわとしても使える「ビラ」を選挙期間中に配布することを選挙管理委員会が認めているため、松島法相が配布した「うちわ」とは全くの別物となります。

「うちわ風のビラ」か「ビラ風のうちわ」かの問題ではない

 この問題、有権者からすると国会の質問時間を割いてまで追及すべき問題なのかという疑念はもっともでしょう。しかし政治に携わり選挙を戦う当事者の立場からすれば、定められた法令の範囲内で政治や選挙への関心を高め、一人でも多くの有権者に主張や政策を伝えるためというのは、とても大切なことです。

 わが国の公職選挙法は「べからず法」と揶揄(やゆ)されるほど、政治家の言動は厳しく制限されています。それを司るべき法務大臣としての答弁や態度として見たときに、資質を問う声が上がるのはやむを得ないのではないでしょうか。

選挙管理委員会が「選挙ビラ」として認めた一例

<著者> 市ノ澤 充
株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー シニアマネジャー
政策シンクタンク、国会議員秘書、選挙コンサルを経て、2011年株式会社パイプドビッツ入社。政治と選挙のプラットフォーム「政治山」の運営に携わるとともにネット選挙やネット投票の研究を行う。政治と有権者の距離を縮め、新しいコミュニケーションのあり方を提案するための講演活動も実施している。
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