【寄稿】継続的改革で「議会力向上」へ──マニフェスト大賞を受賞して（2012/12/28 長野県飯田市議会）
2012年11月に行われた第7回マニフェスト大賞で、「最優秀成果賞」を受賞した長野県飯田市議会は、「議会力向上」を合言葉に、議会責務検証から継続的改革まで取り組んできました。これらの仕組みは、自治基本条例を住民参加によってつくり、政策サイクルとして動かし、住民福祉の向上につなげたことが評価されました。これまでの取り組みを振り返り、今後の展望を同市議会に寄稿いただきました。（政治山）
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マニフェスト大賞受賞式の様子
飯田市議会では、議会が自治基本条例を提案・制定し、その後、議会報告会や行政評価を実施。これらの取り組みを統合し、市民からの意見を取り入れ、議会からの「政策サイクル」として理論化して実践してきた。それが評価され、このたび第7回マニフェスト大賞地方議会部門で最優秀成果賞の栄に浴した。
市議会は、いわゆる地方分権一括法施行を契機に「市民に開かれ活動する議会」への転換を決意し、2002年、超党派による「議会あり方研究会」立ち上げた。以降、検討の中で、議会に市民会議を設置するなどして自治基本条例制定に取り組み、2006年9月「飯田市自治基本条例」を制定、翌年4月に施行した。条例検討段階での取り組みは議員の意識改革につながり、結果として条例制定は大きな資産となった。さらに2008年度から、自治基本条例に規定する議会の責務を果たすため、「議会報告会」と「行政評価」を行っている。
議会報告会は、まちづくり組織との共催により実施。全議員が参加し、常任委員会単位の分科会での1年間の取組報告と意見交換が定着した。2010年度には、市民の意見や要望からの問題発見、政策的課題抽出、調査・研究を政策立案につなげる「政策形成サイクル」を構築。意見の中から、行政評価の対象事務事業も選定している。
行政評価については、基本計画を議決事項と定め、行政評価手法による進行管理を決算認定に結びつけ、常任委員会ごとに施策の方向性と事務事業の貢献度を評価し決算認定の附帯意見として市に提言。その後、予算への反映状況について説明を受け質疑を行ったのち、当初予算審査に臨んでいる。
2011年1月には、自治基本条例に規定した「市議会の役割」の検証に着手。全議員による「自治基本条例検証会議」を設置し、課題と到達目標、課題解決のために検討すべき項目を選定した。その後、9月には「議会制度検討委員会」を設置し、項目の優先度・重要度、実現の手段・手順・方法、達成時期を検討。2012年3月「議会改革・運営ビジョン」としてまとめ、目指すべき姿「開かれた議会」「議論し決定する議会」の実現のために、「市民との関係」「議員同士の関係」「執行機関との関係」と重点的取り組みや、いわゆる工程表などを明記。課題の解決とビジョン実現・進行管理を行うための推進組織について、おもな役割などを定義した。
多くの住民にもご参加いただいた議会報告会
この間、2013年4月の議員改選を考慮すると、ビジョン策定までの時間は限られていたことから、検討委員会終盤では週2回のペースで会議を開催し、ビジョンの策定につなげた。
ビジョン策定と同時に、常設型の「議会改革推進会議」を設置。課題解決の実効策を検討後、全議員の意見を聴取し、議会運営委員会の決定を得ながらビジョンの実現に取り組んでいる。
今回、これらの取り組みを評価いただき、受賞するに至った。昨今は議会改革を競い合う感が否めないが、議会改革は議会の責務を果たすための手段であり、目的ではない。改革の着実な実践と反省・改善を繰り返しながら、議会の「見える化」、討議する議会を掲げ、機関としての総合的能力「議会力」を高めるため不断の改革を推進していく。並行して、議会の責務のみに留まらない検証を続け、自治基本条例の目指すまちづくりを推進していく考えである。
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