【早大マニフェスト研究所連載/マニフェスト学校特別講座「衆議院議員選挙2012特集」】
Part2 国政の現状~地方の現場から~(2012/11/29 早大マニフェスト研究所)
政治山では、ローカル・マニフェストによって地域から政治を変える活動を行っている「早稲田大学マニフェスト研究所」(所長:北川正恭早大大学院教授)と連携し、「議会改革」と「マニフェスト」をテーマに連載しています。12月16日に実施される衆議院議員選挙に向けて、「マニフェスト学校特別講座『衆議院議員選挙2012特集』」の第2回をお届けします。
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2009年総選挙における民主党マニフェストには、「地域主権」という文言を用いて中央集権から地方分権へと、国の統治のあり方を大きく進化させる公約が掲げられていた。それを実現する具体的な政策として、例えば「中央政府の役割は外交・安全に特化し、地方でできることは地方に移譲します」とあった。確かに、政権奪取後から総理主導の地域主権戦略会議などを設置し検討を重ね、ハローワークの運営を厚生労働省から都道府県へと権限移譲するなど、いくつかの成果も出してきた。しかし、東日本大震災の発生など、大幅に政策の優先度を変更せざるを得ない状態になったとはいえ、地方向けの補助事業は一向に衰えず、地方自治体はジャブジャブの「補助金の海」を泳いでいるのが現状である。すなわち、「事業の中身もお金も、国が決めた枠の中で地方は動く」というこれまでの流れを大きく変えることはできなかった。
国は農林水産事業と商工業が連携して、「6次産業化」を推奨してきた。これまで第一次産業(製造)と第二次産業(加工)、第三次産業(販売)はバラバラで活動していたのを1つにまとめて、製造から販売までを一括して行う取り組みである(第一次×第二次×第三次=第6次)。地方自治体の中では、農協や商工会が連携し、6次産業化に取り組む事例が増えている。例えば、国が地方に「6次産業化がよい」と勧めるのであれば、まずは国が合体したほうがよい、と考えるのは自然ではないだろうか。これは、農林水産省と経済産業省の統合を意味している。少々乱暴な意見になるが、自らがよしとして推奨するならば、自らも組織の効率性やそこから生み出す価値の最大化に取り組まれるべきである、と考える。
12月16日の総選挙の投開票が終わればほどなく、次の政権を担う総理や大臣が決まる。そうするとすぐに、2013年度の予算を作成しなければならない。例年、各省庁の「予算ぶんどり合戦」が繰り広げられ、「省益あって国益なし」と揶揄(やゆ)されてきた。
世界の中でわが国の位置を確認すると、経済や教育、福祉などさまざまな分野で先進的であり後進的でもあるが、制度疲労を起こしている事例は少なくない。また、大きく変動する世界の中で、日本の立ち位置を定めていくのは容易ではない。民主党が2009年に掲げたように、国がやることと地方がやることの役割分担を明確にする必要がある。
次回の記事では各政党のマニフェスト分析を行う予定だが、「どのような日本をつくるのか」を掲げ、その視点から実効性のある組織を組み直し、政策実施をするような体系立てられた統治が行われることを望んでいる。
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