【早大マニフェスト研究所連載/マニフェスト学校~政治山出張講座~】
マニフェスト型選挙で税金を取り戻せ!~マニフェストの通信簿をつけよう(2)(2012/11/15 早大マニフェスト研究所)
政治山では、ローカル・マニフェストによって地域から政治を変える活動を行っている「早稲田大学マニフェスト研究所」(所長:北川正恭早大大学院教授)と連携し、「議会改革」と「マニフェスト」をテーマに連載しています。マニフェストをテーマとした連載「マニフェスト学校~政治山出張講座~」では、議員・首長などのマニフェスト活用の最新事例をもとに、マニフェスト型政治の課題や可能性について考えていきます。
そのマニフェスト、きちんと守られている?
民主党や自由民主党などの各政党は総選挙の際に、政権奪取した後の公約――すなわち「政権公約(マニフェスト)」を掲げ、選挙戦に臨みます。そして、私たち国民は、そこに何が書かれているのかをじっくりと読み比べ、投票先を決定しているはずです。選挙時にはテレビや新聞などの各種メディアも大きく報道しますので、放っておいても盛り上がります。任期満了時(あるいは解散機運が盛り上がる時期)になると、次の選挙の争点や重要政策の報道が始まり、国民の視線も次期総選挙へと向けられるのです。
そうなると、選挙への関心は高くなります。その一方で、政権奪取後の政党が任期期間中に選挙時に約束したこと(公約)について「何がどの程度守られて、どの程度守られなかったのか」を振り返ってチェックする機会は、これまであまりありませんでした。そもそも、「政策をどのくらい実行できたか」という中身の話になると、具体的なデータなどを調査し読み解いていかなければなりません。これは、私たち国民にとってはなかなか困難な作業となりますので、現実的ではないと思われます。
マニフェストの進捗を確認するのは誰だ?
それでは、公約の進捗状況を、誰が確認すればよいのでしょうか。まず挙げられるのは、「政権を担った政党自身」が自ら振り返り、公表することだと思います。現在、民主党ではホームページなどで「マニフェスト検証イベント」の参加者を募集しています。
次に、野党が政権政党をチェックする必要があります。例えば自民党のホームページでは、民主党のマニフェストについての代表質問などが掲載されています。
また、第3者の立場で検証を行っているところもあります。例えば、各界の有志からなる「新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)」では、これまでにも検証大会を開催。その様子は動画で配信されています。さらにテレビや新聞などのメディアも、政権政党の実績内容について検証を行うことでしょう。
皆さんもこのような情報に関心を持ち、自分自身が判断する際の参考にしていただければ、と思います。前回記述したように、私たちの納める税金の額や使途については、政治家が議会で議論をして決定しています。その政治家は選挙で選ばれています。2009年の総選挙では、長く政権を担ってきた自民党が、民主党に政権奪取されました。これは、国民1人ひとりが持つ「1票の積み重ね」により生じたのです。このとき、わが国の政治史上における「革命」が起こりました。
今後も、「私1人が選挙に行ったところで何も変わらない」とあきらめで選挙を放棄したり、自分の意志ではなく誰かの言うとおりに投票したりするのではなく、「自分のこととして」選挙に目を向けていただきたいと思います。迫りくる総選挙を目前にして、政治に変化を起こすのも私たち自身、現状維持の判断をするのも自分自身、ということを再確認する機会にしていただければと考えます。