【早大マニフェスト研究所連載/マニフェスト学校~政治山出張講座~】
マニフェストを活用した行政改革
~スピード開票事例(1)長野県小諸市の場合~(2013/01/24 早大マニフェスト研究所)
政治山では、ローカル・マニフェストによって地域から政治を変える活動を行っている「早稲田大学マニフェスト研究所」(所長:北川正恭早大大学院教授)と連携し、「議会改革」と「マニフェスト」をテーマに連載しています。マニフェストをテーマとした連載「マニフェスト学校~政治山出張講座~」では、議員・首長などのマニフェスト活用の最新事例をもとに、マニフェスト型政治の課題や可能性について考えていきます。
◇ ◇ ◇
開票から結果が出るまでは時間がかかる?
投票が終了するのが、日曜日の20時。21時に開票がスタートしたら、選挙の結果が出るのは、およそ24時ころ──。みなさんは、「開票には時間がかかるものだ」と認識されていると思います。しかし、そのような思い込みをされている方にとって、驚くような自治体があるのです。
長野県小諸市の県知事選挙(2010年)で、開票事務にかかった時間は、わずか17分(表)。それ以外でも、議員選挙や国政選挙などで、驚異的な短時間開票をいとも簡単にやってのけます。小諸市では、選挙の開票は「時間がかかるもの」という概念はなくなったのです。
「開票迅速化」で得られる効果
開票事務を早く終えることには、さまざまなメリットが挙げられます。開票作業に関わる人には、人件費が当然かかっています。この人件費は、私たちが納めている税金から出されています。開票に時間がかかるほど人件費は膨らんでいくわけですから、早く終わればそれを抑えることができます。
開票事務に携わっている人の多くは、公務員です。選挙は日曜日に行われるので、翌日の月曜日からは通常の仕事をしなければなりません。開票事務が深夜までかかれば身体的な疲労も蓄積し、翌日の業務へ影響も出てきます。職員の方々の健康面からみても、早く作業を終えるに越したことはないのです。
そして何よりも最大の効果は、選挙結果を早く主権者(有権者)へ知らせることができることです。わが国は「民が主役の国づくり(=民主主義国家)」を目指しているわけですから、主権者が選択した結論を速やかに伝えることは、開票事務をするにあたり、最も大切にしなければならないことです。
国政選挙の実施には600億円かかる
通常、衆議院議員選挙や参議院議員選挙の国政選挙で、選挙費用に税金が投じられる額はおよそ600億円です。この費用は主に「選挙事務」に使用され、それは「広報啓発事務」「投票事務」「開票事務」の3つに大きく分類することができます。これまでの選挙事務手法で今後も実施したとすると、これだけの膨大な税金が毎回投入されていることになるのですが、前回の手法をそのまま踏襲した従来型の選挙事務から、目標を掲げて実現を目指す「目標達成型(いわゆる“マニフェスト型”)」の選挙事務へと変えることにより「思い込み」を打破し、効果的な政策の実施と効率的な事務運営が図れるのです。
次号では、選挙事務の中でも開票事務に焦点を当て、「マニフェスト型開票事務」について実施手法を紹介いたします。