どうあれ長い道のり―Jヴィレッジ視察(2012/07/27 板橋区議会議員 中妻じょうた)
7月17日、「原発のない社会をめざす グリーンテーブル」発足に先立って、加盟予定の全国の地方議員とともに、福島県楢葉町のJヴィレッジおよび周辺地域の視察に行ってきました。
まずご了解いただきたいのは、現在の福島第一原発の現状や周辺被災地の被害状況、また東電の取り組みの良し悪しなどについて、今回の視察だけで論評することは無理だということです。見たこと・聞いたことをそのまま書くだけになりますので、ご了承ください。
Jヴィレッジはもともと、東電が地域振興のために造営・寄贈したサッカー施設ですが、福島第一原発の事故に伴い、ちょうど福一から20km程度の地点にあることから、運営会社である株式会社日本フットボールヴィレッジを通じ、福島県の了解を得て、東電による事故対応の拠点とされました。
Jヴィレッジ内では許可なく撮影ができませんので、写真は断片的なご紹介になってしまいますが、ご了承ください。
20kmの境界・楢葉町
まずJヴィレッジで防護服一式を着こみ、福島第一原発から20km圏境界までバスで行きました。警戒区域の中にはやはり入れないようです。
自分のガイガーカウンターによる空間線量計測結果は、腰の高さで0.61μSv/h前後でした。
楢葉町は全町避難を実施しており、住民の方々は主にいわき市に避難しているとのことです。
このときに伺ったお話によると、楢葉町の一部は「避難指示解除準備区域」に指定され、全町避難は継続しているものの出入りは自由になり、家の片付けなどはできるようになっているということでした。しかし、その後Twitterにて、楢葉町の警戒区域見直しのためには、避難している町民との町政懇談会が終わらなければならないはずだというご指摘をいただきました。
警戒区域に関する最新の情報については、恐れ入りますが楢葉町役場に確認をお願いいたします。
除染対象範囲は「生活圏内から20m以内」だそうです。
住居・建築物のみならずすべての道路や田畑も生活圏内となりますので、そこから20m以内をすべて除染するとなると膨大な作業量になります。
しかし、すべての対象範囲を除染するまでやるのだと強調されていました。頭が下がります。
除染作業後に集めた廃棄物は、すべて追跡管理しているとのことです。
福島第一原発事故対応拠点・Jヴィレッジ
20km圏境界を視察後、Jヴィレッジに戻ってきました。
Jヴィレッジは、福島第一原発事故対応作業に向かう方々の入口であり出口です。作業終了後は着用した防護服一式をすべて捨て、体に付着した放射性物質を検出する「ゲート式退出モニタ」によるチェックを受ける必要があります。
私たちも全員、ゲート式退出モニタによるチェックをして出てきました。
Jヴィレッジで使われた防護服などはすべて一度きりの使い捨て。もちろん焼却などはできませんので、コンテナに詰めて一箇所に集積してあります。今は既に5段重ねになっています。
原発の是非はともあれ、現場で奮闘する皆様には敬意を表します。お疲れさまです。
4号機の状況を質問
東電への質問時間が設けられましたので、私からは、福島第一の4号機の状況を質問しました。回答を要約すると以下のようになります。
・壁面が損傷し内部がむき出しになっているため危なく見えるが、補強工事は進んでおり、東日本大震災と同程度の地震でも耐えられる程度の強度は確保している。
・建屋が傾いていないことは確認できている。
・原発事故の主要因は電源の喪失にあったが、現在は電源車を建物内および高所に配置し、二重に電源を確保している。
・津波に備えて防潮堤も作り直している。防潮堤の高さは現在10mであり、将来的には15mにする予定。
冒頭に申し上げたとおり、今回の視察だけで何を論評できるわけではありませんが、少なくとも確かなことは、福島第一原発事故対応や原発事故被災地の復興は、長い長い道のりになるということです。
板橋区に避難されている福島の皆様の顔を思い出しながら、微力な自分にできることは何か、考え続けたいと思います。
- 中妻 じょうた(なかつま・じょうた)
- 1971年宮城県仙台市生まれ。早稲田大学卒。ネットワークエンジニア、ITセキュリティエンジニア、ITコンサルティングなどに従事。その後、民主党衆議院議員・長妻昭事務所にて、1年半ほどボランティアやアルバイトとして働く。2011年4月、板橋区議会議員選挙に初当選。現在、1期目。
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