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    グリーンテーブル発足会に参加して(2012/07/25 横浜市会議員 荻原隆宏)

    視察で伺ったJビレッジの様子 視察で伺ったJビレッジの様子

     グリーンテーブル発足会前日の17日、福島県楢葉町にあるJヴィレッジ(注1)を訪れた。サッカー日本代表の大きな写真が飾ってある。選手たちの雄々しい姿が目に飛び込む。原発事故処理にあたる1日約3,000人の作業員が防護服に身を包み、この拠点を今も行き来する。

     18日午前には仮設住宅でお話を伺った。昨年3月12日からここに辿り着くまで6カ所移住してきた方もおられる。「政治家はここに1カ月でも住んでみればいい。そうすれば私たちの気持が分かる」。

     かつて住んでいた場所は今、除染作業の最中である。除染作業は道路等の生活区域から20メートル範囲内の土壌を移動させる。しかし、風雨等によって、除染範囲外にある土壌や木の葉が、既に除染された場所に入ってくることは容易に想像できる。家屋の瓦も屋根から落としただけ、車も水をかけただけ。それで除染なのか。住民が不信感を抱くのも当然だ。除染したからといって、すぐに生活できるわけではない。企業の協力を得て、仮設の小中学校も設置された。少しずつ、子ども達が戻ってきている。児童が作る七夕の短冊に、「楢葉南北小学校にもっと人が増えますように」とあった。

    除染現場の視察時に撮影 除染現場の視察時に撮影

     原発事故は突然に平穏な暮らしを破壊し、かつての安らぎは、今もまだ遠くに霞んでいる。

     私たちは、状況よりも正義を重んじる社会を作るべきだ。電気を作り産業を興すことは重要だが、それは正しい生き方に立ってはじめて歓迎される。電力会社と政府が「安全です」と言うその言葉が信頼されない今、私たちは失われた社会的道徳の復旧にこそ、より一層の関心を向けなければならない。ドイツが“倫理的”に脱原発を選択したように、現実を支配する状況だけを選択の理由とすべきではない。理不尽に人生を翻弄されず人間らしく生きること、人は人を傷付けてはならないという人類社会の大原則に立ち返れば、「思い至らなかった」と事故原因を振り返り、なおかつ再稼働を推し進めるという原発関係者の態度は総じて理解しがたい。私たちには、状況に負けず「正しく生きる」権利がある。

    ◇        ◇        ◇

    (注1)Jヴィレッジ…1997年に設置された日本サッカー界初のナショナルトレーニングセンター。3.11の東京電力福島第一原発事故後は、原発から20キロメートル圏内にあることから閉鎖され、現在は東電による原発事故処理の中継基地として機能している。

    横浜市会議員 荻原隆宏
    荻原 隆宏(おぎわら・たかひろ)
    横浜市会議員。「経済以外の価値観」「世界的視野」を日本に取り戻すため政治家を志す。昭和45年生まれ、ドイツ・フランス・アルジェリア・イギリス・日本の5カ国で育つ。早大卒。2007年初当選、現在2期目。
    HP:横浜市会議員 おぎわら隆宏 ヨコハマを愛するちから!
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