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第4回政治山調査「ネット選挙に関する意識調査」【分析】Part2(2012/06/06 政治山)

 政治山が5月にインターネットと電話を使って行った「ネット選挙に関する意識調査」の結果、世代や調査対象によってネット選挙に対する認識が大きく異なることがわかった。今回は、ネット選挙解禁に「賛成」とした層の属性や考え方の違いなどを詳細に見ていく。
[関連ページ] 特集:ネット選挙ネット選挙に関する意識調査の結果【分析】Part1

「選挙」や「政治」への関心の高さも影響?

グラフ1、グラフ2AB、グラフ3 選挙活動にインターネットを利用することについての賛否

 まずは、ネット選挙解禁の賛否を聞いたQ4の結果をあらためて見てみよう(グラフ1)。「賛成」と「どちらかというと賛成」を合わせ69.0%、「反対」と「どちらかというと反対」は28.7%となっている。積極的賛同である「賛成」が23.5%、一方の強い否定の「反対」は8.5%である。これを男女別で見たのが、グラフ2Aとグラフ2Bだ。

 特徴的なのが、男性の賛成派(「賛成」もしくは「どちらかというと賛成」)と、女性の「どちらかというと賛成」の多さである。女性の場合、「どちらかというと反対」も男性より高い。「どちらかというと~」を選んだのは、男性が58.1%だったのに対し、女性は73.5%である。男性に比べ女性は、ネット選挙に対し明確な評価を下していない、もしくは積極的な判断をしていない層が多いことがうかがえる。

 また、「賛成」の「男性の多さ」=「女性の少なさ」も注目ポイントだ。男性の「賛成」は女性の2倍以上である。「反対」がほぼ同率だったことからすると、非常に特徴的な結果となった。

 ネット選挙の賛否について、性別と年代別に詳しく見たのがグラフ3である。この中で20代女性の「賛成」の割合が一番低かったのは意外な結果となった(14.5%)。男性も、30代よりも20代の方が「賛成」の割合が低く(20代29.1%、30代40.0%)、インターネットとの親和性が必ずしもネット選挙に結び付いてるわけではなく、「選挙」や「政治」そもそもへの関心が今回の調査結果に影響を与えていると考えることもできそうだ。

情報は自分で選別したい?

グラフ4 選挙活動のネット利用に賛成の理由(賛成+どちらかというと賛成)

 続いてQ5では、Q4で「賛成」もしくは「どちらかという賛成」を選んだ人に、その理由を聞いた(複数回答可)。結果を性別・年代別で集計したのがグラフ4だ。どの年代でも大きな支持を得たのが、「時間や場所を選ばずに情報を得られるから」。これはインターネットの特性そのものであり、ネット選挙の基本的な機能の部分である。次に、「選挙費用が安価になるから」が比較的多くの割合を占めているが、これは「選挙には金がかかる」との認識があるからだろうか。

 ここで注目されるのが、選択肢「候補者と直接的に情報交換できるから」の動向である。まず、20代女性での低さが目立つ(3.8%)。男性も20代では低くなっている(8.9%)。また、女性全般を見ても、男性に比べ、この項目を選んでいる人は少ない。これは、女性や若い世代は、候補者(政治家)とコミュニケーションを取ることをそれほど望んでいないということの表れなのだろうか。自分に必要な情報を、必要なときに、インターネットを使って自ら選別して得ようとしている姿が見て取れる。

 これは、「その他」の自由回答欄にも現れていた。「その他」を選んだ人がその理由とした中で目立ったのが、「選挙カーの騒音が減るから」「街頭演説の騒音が減るから」である。これは、「候補者と直接的に情報交換できるから」を選ぶ人が少なかった理由の1つではないだろうか。多くの人が、選挙戦で展開される“押し付けられる(望まない)情報”に辟易していると採ることもできる。

 このほかの自由回答には、「情報化と公開性が求められる時代の当然のすう勢と考えるから」「情報の選別を通して有権者がより賢明(正確)な投票行動をとれるから」「若者の選挙への参加に期待が持てる」といったものがあった。また、「体の不自由な人でも参加しやすい」といった意見もあり、ネット選挙への期待の大きさも伺わせている。

積極的に「賛成」を選んだ人の理由は?

グラフ5 選挙活動のネット利用に賛成の理由(賛成のみ)

 次に、賛成派の中でも積極的な賛同である「賛成」を選んだ人の傾向を見てみる。「賛成」を選んだ人は、1,177人中277人で全体の23.5%である。この人たちが「賛成」をどうして選んだかをまとめたのがグラフ5だ。

 この設問は複数回答可なので、グラフが右に長いほど多くの人が複数の選択肢を選んでるいることになるが、ここで極端な差が出ているのが20代の男女だ。もっとも右に伸びているのが20代男性で、もっとも短いのが20代女性である。「速報性があるから」以外で大きな差が出ており、特に「選挙費用が安価になるから」は56.9ポイントもの差が付いている。母数が少ない(男性=19、女性=11)ため、1つの差が大きく出やすいとうこともあるが、ネット選挙への積極性や期待感という面で意識の差があることは確かだろう。

 この「賛成」を選んだ人の「その他」の自由回答は、「自然と情報を取得することができそうだから」「投票所に行かなくてすむ」「投票率が上がる」といったメリットだけでなく、「何が問題なのかわからない」「今まで解禁してなかった方が不思議。技術の進歩に追いついてない」といった進まない改革への不満も見られた。

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 次回は、反対派の傾向と、電話調査のネット選挙賛否について報告する。

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