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[愛知・半田市]じっくり読んで知る…新美南吉の文学と半田の産業 (2015/11/23 あんびるえつこ)

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 この記事は「はんだ市報 2015年(平成27年)11月15日号(NO.1417)『ごん吉くんレポート ~南吉よもやま話~第14回南吉童話と半田の醸造文化』」を紹介し、コメントしたものです。

◇        ◇

 子どもたちがまだ小さいころ、よく読み聞かせした新美南吉の童話。「てぶくろを買いに」で、母狐が冷えた子どもの狐の手をとって、はーっと息を吹きかけ温めてあげるシーンでは、いつも私も同じように子どもたちの小さな手をとって、はーっとしてあげたのを覚えています。新美自身が幼くして母を亡くしているからでしょうか。母と子どもの物語が、どれも切ないくらい美しいのです。

 新美南吉の故郷が愛知県半田市であることは、先日、安城市を訪ねた時に初めて知りました。半田市で生まれ育った新美南吉は、安城市で教師をしていたこともあり、両市はゆかりの地として連携・交流しているということでした。

 その半田市の広報紙に、文学の地であるにふさわしい長いコラムが掲載されていて、思わず読み入ってしまいました。「ごん吉くんレポート ~南吉よもやま話~第14回南吉童話と半田の醸造文化」と題したコラムです。

 新美南吉の童話には、酒や酢、味噌やたまり、しょう油といった半田で盛んであった醸造業にまつわるモチーフが多く見られるとのこと。半田では、醸造文化が暮らしに根差していたため、自然にこうした描写があるのだといいます。「狐」の主人公も樽屋の子どもでした。狐がつくという迷信を信じおびえる子どもに向かって、母は自分を犠牲にしてでも子どもを守ってあげるから大丈夫と言って聞かせます。すると、子どもは母が犠牲になるのはいやだと激しく泣き…。その姿を見て、母がそっと涙をぬぐうという、やはり母子の美しい物語で、私も大好きでした。

 広報紙はともすると情報の羅列で終わってしまいますが、その地その地の文化や歴史を、きちんと伝えるという役目もあるのですね。生物による物質の変化を、手を入れ、気にかけながらじっくりと待つという醸造の文化。そうした醸造の過程と、新美南吉の文学に描写される子どもの成長を見守る母のまなざしとがオーバーラップしてくるようです。我が家の子どもたちはすっかり大きくなりましたが、また改めて読んでみたくなりました。

提供:マイ広報紙

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