虚像ではないのにハウツーが胡散臭くみえるワケ (2018/6/25 瓦版)
変人・安田の境目コラム
なぜか薄っぺらくみえるハウツー
本質的な話に触れて「それは違う」と言う人は、あまり居ません。「水は高いところから、低いところに流れる」という話には、異を唱えようがないからです。
でもハウツーには、異を唱える人がたくさん居ます。「こうやったら売れる」「いや売れない」「こうやったら成功する」「するわけない」という具合に。
ハウツーは、言うなれば端的な答え。分かりやすいけど、その分薄っぺらい、小手先の手段に見えてしまうのです。確かに、あまり考えていない誰かの受け売りのような、何か言っているようで何も言っていないような、そういうハウツー本もあります。
でも中には、とても役に立つ、素晴らしい内容のハウツー本があることも確かです。にも関わらず、ハウツーは疑問視される。それは何故なのでしょうか。
例えば七つの習慣は、ハウツー本なのでしょうか。それとも本質論なのでしょうか。緊急ではないけど、重要なこと。それを実行できるスケジュルを組む。表面的にはハウツーに見えます。でも言っていることは、とても本質的。なぜなら「緊急ではないけれども、重要なこと」とは、本質的なものだからです。例えば健康とか、家族との関係とか。そんなの良い方がいいに、決まっているじゃん。でも、そこに時間をかけられないのが、問題なんだよ。と、ツッコミを入れたくなります。
ハウツーが虚像でないと断言できる理由
本質的だけど、ハウツー本に見える。アメリカ人はこういう本を作るのが、とても上手。日本人はすぐに哲学書っぽく作ってしまう。だから、良い本だけど売れないのです。
結局のところ、本質とは普遍的なもの。人類全てに共通する法則みたいなもの。だから当たっているのは、当たり前なのです。当たり前だけど、とっても大事なもの。
そしてハウツー。こちらは真逆。万人に共通するハウツーなど無いのです。しかし、ハウツーは虚像ではありません。それは実在する、と私は断言できます。必ず成功するハウツーは、実在します。ただしそれは、一人一人違う。だから結局、私のハウツーは、私自身が見つけるしかないのです。
<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ)は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。
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