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【新しい働き方はどのように生まれた?・海外編】第17回:職場の人権問題「パワハラ」、人間性無視の管理はなぜ起きる? (2018/1/5 nomad journal

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「職場の人権問題」ということで良く話題に上るのが、パワハラ、セクハラ、過労死、メンタルヘルス、障害者の扱い方、女性の登用の少なさなどですが、この中で職場で一番問題になっているのが「パワハラ」なのではないかと思います。つまり自分の職位を利用して権力で人を管理しようとすることですが、職場での人権問題のほとんどはこのパワハラから生じた問題であるように思われます。

失業

職場で人権問題の根源となる「パワハラ」

正直言って自分自身の職場でも日本人のマネージャーからパワハラらしきものを感じさせられたことがあります。それは仕事が溜まっているのに、詳しい説明もなく別の仕事を押し付けられたことです。これ以外にも自分とは直接関係ないのですが、上級の日本人駐在員が下級の駐在員に無理やり仕事をさせようとした場面にも何度か出あったことがあります。

ひどい時には、他の人がいる前で自分よりもランクの低い人を大声で叱ったり、体の一部を叩いたりと、そばにいて恥ずかしく思ったこともありました。あるローカルのメンバーは日本人駐在員が開く会議を皮肉って「やくざ会議」と呼んでいました。以前、現地のマネージャーもそうした会議に呼ばれたことがあり、その時の険悪な雰囲気にかなりまいっていた人もいたのです。では、このような人間性無視の管理はどうして起こってしまうのでしょうか。

絶対服従型管理

日本の他の職場の状況はわかりませんが、少なくとも自分の職場では日本人のマネージャーはほとんど席に座っていて、とにかくそこからメールなどで指示を出し人を管理する傾向があります。しかも自分の部下に一つの仕事を頼むときに、何のためのにやるのかとかといったはっきりとした説明もなしに、部下に対し「絶対服従」を強いる人がいます。

そのため、仕事を部下に丸投げして任せっきりにし、部下が困っているときでも、助けようとせず放っておくマネージャーもいました。このような取り扱いを受けた部下がどのような気持ちになるかは目に見えています。もしそのマネージャーのことが怖ければ、なんでも言うことをきくでしょうが、そうでなければ反抗し始めます。

いずれの場合も、そのマネージャーを心のどこかで嫌うことになり、ストレスが溜まった状態で仕事を続けることとになります。結果として良い仕事に結びついていきません。

ビジョンとコミュニケ―ションによる管理

では、オーストラリアの現地のマネージャーはどうでしょうか。もちろん人によって差はありますが、これまで出会ったマネージャーの中で一番リーダーシップがあると感じた人は、まず部下とのコミュニケーションを大切にしていました。一つの新しい活動やポリシーを導入する時には関係者全員を集めて説明会を開きました。質問があればそれに答えます。このようにして関係者によく理解してもらってから新しい活動やポリシーを展開していきます。

その際に活動の内容によっては別の人にリーダーシップをとってもらうこともあります。この管理方法では、メンバーに活動の主旨を理解してもらうまでには少し時間がかかりますが、一度理解してもらうとその後はメンバーが自発的に活動を行っていく傾向があります。特にこのリーダーで感銘を受けたのは、他部署や外部との交渉など、本人はもっと高いレベルのところで動き、どのメンバーよりも活発に活動していたことです。そのため、誰もがこのリーダーを尊敬し、職場に活気が生まれ、仕事がどんどんはかどっていきました。

仕事とプライベートは別

日本型の絶対服従型管理では、上下関係が非常にはっきりし、その関係が仕事以外のところにも引き続いていきます。例えばこれまで何度か触れましたが、上司に飲み会やゴルフに誘われると拒否できなくなるのもその一つです。日本型の管理方法でもう一つ驚くのは、仕事を休んで休暇などに出かけるときにも上司に行先を報告することです。

オーストラリアでは、仕事上での上下関係はゆるいなりにもありますが、仕事の内容が理解できなければ質問したり反論することもできます。また仕事とプライベートは完全に切り離されています。部下が休暇にどこに行くかなどは上司の責任外のことです。また、よほどの緊急の場合でない限り、休み中に仕事の関係者への電話は遠慮すべきだと考えられています。

ランク付けで成り立つ日本の管理社会

職場では任務を遂行するためにある程度の上下関係は必要だと思います。でもだからといって、部下の人間性を無視し権力を使って仕事を押し付けたり、恥をかかせるような叱り方をしたりするのは時代遅れのように見えます。更に日本には先輩後輩の習慣もあります。

なぜ先に生まれた者や先に入社した者の方が偉いのか、なぜ人をランク付けし、そのランクに基づいて行動するのか、なぜ一人の人間としてお互いの人間性を尊重し合いながら付き合っていくことができないのか。日本の会社管理について考えるとき、いつもこうした疑問が浮上してきます。

職名なしで呼び合うことの意味

今回は自身の経験からオーストラリアの会社管理について書きましたが、この管理形態は広く欧米全体に当てはまるものだと思います。もちろん欧米のすべてが良いわけではなく、日本の習慣にも良いものはたくさんあります。

けれども、人権に関する限り、やはり欧米から学ぶことは大きいと思います。オーストラリアでは会社の最高責任者であれ、部長であれ「○○社長」とか「△△部長」のように職名をつけて相手を呼ぶことはありません。名前やニックネームだけで呼び合います。

このことから見ても、職場での付き合いも基本的には人間同士の付き合いであることがわかります。いつか日本にもどんな人をも肩書や職名なしで呼ぶ日が来ることを願わずにはいられません。

記事制作/setsukotruong

提供:nomad journal

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