完全週休3日も可能になる制度を導入/シグナルトーク (2017/6/5 瓦版)
“完全”週休3日制を導入する企業の思惑
ついに“完全”週休3日制導入企業が現れた。導入するのは、オンラインゲーム開発・販売を手掛ける(株)シグナルトーク。スタートは2017年6月5日。社員が在宅や週休2日、週休3日、週休4日、さらに業務委託など、働き方を自在に選択できる「FreeWorking制度」を導入するなど、働き方改革の先端を走っていた同社だが、その成果も踏まえ、さらなる一歩を踏み出した。
CreatorDay制度とネーミングされた同制度は、月曜を休みとする週休3日制。対象はフルタイム勤務およびリモート勤務の従業員。形式上は、第一月曜日が年次有給休暇取得の推奨日で第2~第5月曜日がCreatorDay休暇の取得可能日となっている。これらをフル活用することで、社員は、週休3日制の勤務が実現する。
同制度には2つのポイントがある。ひとつは、休暇をフル取得し、週休3日を実現しても1日の労働時間は長くならない。もうひとつは、それでも給与が減額されない点だ。つまり、フル活用した社員は、“完全”週休3日制での勤務を実現することになる。
「このような制度を導入すると、会社は大丈夫かとご心配いただく部分もあるかと思います。しかしこれまでの実績から問題はなく、効率化により今年も成果を出す事ができるのではないかと考え、短い労働時間で高いアウトプットを目指す働き方を、全社的に追求していきます」と同社栢孝文代表は力説する。
事実、昨年2016年の同社の平均労働時間は147時間で、全国平均161時間を下回る。一方で、売上は過去最高を記録しており、週休三日制に移行し、月間労働時間が128時間程度になってもさらなる効率化などで一層の成果が見込まれており、むしろプラスに作用すると捉えている。
本気で目指す作業密度の徹底向上
加えて、顧客価値向上とともに仕事を倍速にするための提案をスタッフ全員が毎週1つ以上提案し、実施するなど、同社は労働時間でなく、成果に注目する仕事の進め方を数多く推進。トップを筆頭に、ブレることのない働き方方改革に取り組んでいる。
実質的に完全週休3日制といえる同制度だが、柔軟性もあり、生産性を低下させる縛りにならない工夫も散りばめられている。それが第2~第5月曜日のCreatorDay休暇だ。この日は、自由出勤日の扱いで、休む場合には特別休暇を取得することになる。つまり、業務状況によっては、出勤も可能。これがなければ、労働時間が減っても持ち帰り残業的に自宅で業務ということにもなりかねないが、それでは生産性向上につながらない。本気で作業密度のアップを目指す同社ゆえの配慮といえるだろう。
「FreeWorking制度」は、社員ごとのワークスタイルを選択できる極めて柔軟な人事制度だったが、この週休3日制は、会社という枠組みとしての取り組みで、まさに同社の働き方改革への姿勢をストレートに象徴している。ヤフーなど大企業も導入の意思を表示するなど、週休3日制移行への動きは注目度が上昇しているが、一足先に踏み出した同社の今後の動向は、そうした動きの成否を占う意味でも目が離せない。
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