政府参画で新しい意義が加わった働き方改革 (2017/3/31 瓦版)
働き方改革はどこへ向かい、何をもたらすのか
「ニッポン一億総活躍プラン」が閣議決定
2016年6月、「ニッポン一億総活躍プラン」が閣議決定する。大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略として放たれたアベノミクスの3本の矢。それらの効果を推進するための全国民へ向けた総理からの熱いメッセージのような、これまでにないチャレンジングなプランだった。
その名の通り、老若男女はもちろん、障害や難病のある人も含む国民全員が活躍し、少子高齢化に立ち向かおうという日本再興プラン。労働人口減少という危機を、女性や高齢者などがそれぞれの知見やポテンシャルを活かし、カバー。金融・財政政策で実った果実を最大限に活かそう、というのがその趣旨だ。
単なる社会政策でなく、究極の成長戦略。成熟社会に突入した日本が、衰退でなく、力強く成長し、自らの手で人生を豊かにする。国民のぶら下がり体質からの脱却を国が示すという点では、極めて異例で、先鋭的なプランといえるだろう。
国民全員で景気を回復しようというビッグプロジェクト
その先に見据えるのは、「名目GDP600兆円」「希望出生率1.8」「介護離職ゼロ」という大目標。まさに究極といえる成長戦略だ。巨大だからこそ、国も全面支援する。だから、国民全員が奮起しよう。そういうワケだ。
放置すれば自然衰退するトレンドを、国民が力を合わせ、浮上させるというアプローチ。売り上げが低迷する企業が、トップの大号令によりチカラ技で危機を切り抜けるシーンがオーバラップし、やや違和感もあるが、政府がそこまで踏み込んだことで、働き方改革は、より具体的な方向性が浮かび上がってくる。
それは大きく、長時間労働の是正、同一労働同一賃金の実現、高齢者の就労促進だ。とりわけ、潜在労働力として活躍が期待される女性が働き続けることに主眼を置けば、子育てと仕事の両立実現が重要となる。長時間労働前提の現状では、とうてい無理。体力的に厳しいシニアの就労も同様だ。正規・非正規で賃金格差が少なければ、働き方の選択肢は増える。そうなれば、安心して職選びができ、就労継続も容易になる。
もちろん、男性のサポートもこれまで以上に重要になる。育児を女性だけに押し付けるのでは、もはや限界がある。シニアにとっても、柔軟な働き方ができれば、体力の衰えをカバーしながら仕事を続けることが可能になる。就労継続に幾多の障害を抱える女性を軸にすることで、硬直した働き方を柔軟にする土壌は整えやすくなる。こうして、働き方改革は、その方向性はともかく、政府の牽引もあって、より具体化され、力強さを増していく。(続く)
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