再婚禁止余話 (2016/1/5 法、納得!どっとこむ)
前回に、再婚禁止についての最高裁判決について書いたが、判決日に古くからの知り合いである社会保険労務士の先生との忘年会があり、そこで、この最高裁判決の話となり、面白い話を聞くことができた。
会社勤めの人などが、結婚をしたり、子供が産まれたような場合、結婚相手や子供を健康保険の被扶養者とする手続きをする。この手続きは、健康保険被保険者異動届というものである。
ところで、内縁の妻であっても、内縁の夫が扶養していれば、この異動届をもって、被保険者とすることができる。この内縁の妻の手続きの話である。
その要件であるが、住民票を提出して二人が同居していれば、それで内縁関係有りとなるかというと、そうではないらしい。
住民票に「内縁の妻」と記載されていることもあるが、その場合でも内縁の妻の戸籍謄本が必要である。
また、住民票に「内縁の妻」との記載がなければ、内縁の夫が、内縁関係にありますよというような上申書を提出しなければならない。
ところで、なぜ戸籍謄本が必要なのかが分からなかったので、社労士に聞くと、内縁の妻といえるには、その女性がかつて婚姻していた場合、離婚から待婚期間である6か月を経過していなければならないというのが年金事務所の内規だか解釈なので、その確認のために必要だということであった。
つまり、いつでも結婚できる状態になければ内縁関係ではないということらしい。ということで、この6か月を経過していない届け出は受理されないとのことであった。
内縁関係にあるかどうかが、待婚期間の経過とどのように関連性があるのかがさっぱり分からない。社労士は、「そういうお役所だから」と言うだけであった。
さらに面白いのが、その社労士は、待婚期間の経過が必要であることを失念していて、昨年12月10日ころに、内縁関係にある妻を被保険者とする異動届を出したそうである。
すぐに気が付いたものの、ダメであれば返戻されるだろうと思っていたとのことである。
ところが、17日になって、年金事務所から不足していた書類の追完をするように指示されたが、待婚期間の経過については何も言われなかったとのことだ。
社労士は、おそらく16日に判決があることから、それまで保留状態で、判決内容を確認しようとしていたのではないか、待婚期間が違憲であれば、厚労省から受理しろとの内部通達があるかもしれないからであろうと、推測していた。
最高裁の判決内容は、100日を越える部分について違憲であるというものであったが、社労士の届出の内縁の妻は、離婚してから6か月は経過していないものの、既に100日を経過していた。そこで、やはり内部通達があって、受理したのではないかと、社労士は考えたようである。
ところで、先にも書いたが、内縁関係の要件の一つとして、待婚期間の経過があることは不思議で仕方がない。
内縁関係に入る女性の中には、離婚をしてすぐにでも他の男性と一緒に暮らしたいという女性もいるだろう。そのような人は内縁関係といえないのだろうか、そんな馬鹿なことはないと思う。
社労士ではないが、お役所の考えていることはさっぱり分からない。
結局、待婚期間が経過するまでは、保険料の高い国保に入るしかないわけであるが、どう考えても、おかしい。誰かが、裁判で争わないかなと考えている次第である。