夫婦別姓・再婚禁止期間に最高裁判決(1) (2015/12/23 法、納得!どっとこむ)
「夫婦は同じ姓を名乗る」「離婚した女性は6カ月間再婚できない」とする民法の二つの規定が憲法違反かどうかが争われた訴訟で、最高裁が平成27年12月16日に大法廷として初めての憲法判断を示しました。
その最高裁判断について見てみたいと思います。今回は夫婦別姓訴訟について取り上げます。
夫婦別姓訴訟
民法は、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」と、夫婦同姓の原則を定めています(民法750条)。
この夫婦同姓制度ですが、夫婦が必ず同じ氏を名乗るようになったのは、明治時代からと言われています。
戦前の民法では、結婚は妻が夫の家に入ることという考え方を反映して、妻が夫の氏を名乗るとされていました。
しかし、その後日本国憲法は両性の本質的平等を定めるようになり(憲法24条)、それに伴い、現在のような条文となったという経緯があります。
しかし、家族のあり方が変わるにつれて、「婚姻による改姓に伴って様々な社会的手続きが必要となり非常に煩雑である」「仕事の障害となっている」「改姓による自己喪失感を味わう」「嫁(又は婿)と呼ばれることが苦痛」「(改姓した方の親が)娘(又は息子)を奪われるような感覚になる」等、夫婦同氏制度に対する疑問や不満の声が大きくなるようになりました。
そのような中、2012年に都内で事実婚の夫婦らが、別姓を選択できる制度を求めて提訴しました。夫婦同氏制度を定める民法750条は、憲法13条に反するものであること、また、妻が夫の姓を名乗る割合96%を超える状況であるという現状に照らし、この規定は男女の平等を定める憲法14条1項、24条に反するものである、と主張しました。
最高裁判所は平成27年12月16日に判決の中で、まず憲法13条違反については、「氏の変更を強制されない自由」については、憲法上の権利とまではいえないとし、憲法13条違反を否定しました。
しかし、改姓によるアイデンティティ喪失感や、仕事上での影響など、不利益を被る人が増加しているという状況があるという点については認めています。
次に、憲法14条1項違反については、民法750条は夫婦がどちらの氏を称するかについては当事者の協議に委ねていることから、制度自体に男女間の形式的な不平等が存在するわけではないとして、憲法14条1項違反についても否定しました。
憲法24条違反についても、民法750条には一定の意義があること、そして、夫婦となろうとする当事者の協議による自由な選択があること、前述のとおり確かに不利益もあるものの夫婦同氏制度は婚姻前の氏を通称として使用することまでを許さないものではないので、通称使用により一定程度不利益も緩和されること、という理由から否定しました。
しかし、最後に、夫婦同氏制について、この種の制度は国会で議論されて、判断されるべきであると述べて、国会における議論を求めています。
合憲であるという結論については賛否両論分かれており、インターネット上でも激しく議論されています。
最高裁判所も議論を求めていますので、私達一人ひとりが関心を寄せていく必要がありそうです。