「食べる政治」身近な“食”をきっかけに、政治や社会問題について考えよう (2014/11/10 政治山)
普段なかなか馴染みの無い政治や社会問題を、「食」という切り口を使い、興味を持ってもらう。そして、手元に「雑誌+食べもの」が届くことで、読む・食べるという実体験を通して、政治や社会問題をより身近に感じてもらうとする通販サイト、「食べる政治」(http://taberuseiji.com/)。10月下旬のサイト公開以降、ネット上だけでなく新聞などでも話題となっている本企画ですが、どのようなサービスで、またどのような思いで始めたのか。代表の増沢諒氏にお話を伺いました。
身近な“食”をきっかけに、政治や社会問題について考えよう
――食べる政治とはどのようなサービスなのでしょうか?
「『食べる政治』は、【身近な“食”をきっかけに、政治や社会問題について考えよう】をテーマとした、『食べもの付きの、月刊誌』です。毎月、異なる食材を取り上げ、その食べものに関連のあるできごとや社会問題を解説します。創刊号の11月号では『野生鳥獣による農業被害の現状』をテーマとし、農業被害の現状を説明する冊子とともに、『ジビエ料理(国産のシカ肉料理)』をセットでお送りします」
――今後は、どのようなテーマを扱い、どのような食べものを送るのでしょうか?
「12月は『若者の農業ブーム』を取り上げ、実際に愛媛で若い生産者さんが作っている『温州みかん』を送ります。1月は『防災』をテーマとして『おいしい非常食』をセットで送ります。その後は、『水産資源+うなぎ』『日本食+くじら肉』『関税+くだもの』など、毎月異なる食材・テーマを取り上げていきます」
「食」は身近で、体験が伴う
――なぜ、このようなサービスをはじめたのでしょうか?
「これまで、僕は『One Voice Campaign』や『FIRST STEP』など、インターネットを使って投票率向上を呼びかけるウェブ・サービスを作ってきました。ネット上ではとても多くの人に使ってもらい、大きな話題にもなりました。その一方で、どうしてもネットは気軽過ぎて、『興味は持つけれど、そこから考えてみる・実際に投票に行く』といった人がなかなか出てこないと感じました。もちろん、まずは『面白い!』と知的好奇心をくすぐる企画でないと、興味を持ってもらえないと思っていますが、同時に『気軽に体験できる』ことも大事だと思っています。
『食べる』ことは、誰にとっても身近なことです。そして、とても気軽です。『食べる政治』では、ぜひ友だちと会話を楽しんでもらえるよう、少し多めの1.5食分をお送りしています。難しいことは考えず、まずは美味しい食材を楽しむことからはじめて、『気づけば社会問題を考えている体験』を作ります」
不確実な時代だからこそ、「わくわく」してほしい
――「食べる政治」を通して伝えたいメッセージはありますか?
「『食べる政治』を通して、『もっと自分こと、社会のことを考えてほしい』と伝えていきたいです。僕らの生活は、昔と比べると、将来が見えにくくなっています。例えば、いま勤めている会社に定年までいる人はほとんどいないでしょう。住んでいる場所も、もしかしたら海外になっている人もいるかもしれません。先が見えにくいことは、マイナス面が強調されますが、同時に、様々なチャレンジができる状況だと思っています。
不確実な時代だからこそ、『自分の将来はどうなっているんだろう』と不安ではなく、期待感を持つ人が増えてほしい、また、そのためには、もっと自分の将来のこと、社会のことを考えてほしいと思っています」
- 【取材協力】
増沢 諒 (ますざわ りょう)
1988年生まれ、長野市出身の26歳。早稲田大学卒業後、都内ITベンチャーでの勤務を経て、現在、東工大修士過程。研究テーマは「ネットと政治」。2012年、ネット選挙解禁を目指す活動「One Voice Campaign」を企画。2013年、SNSで投票日を相互に呼びかけ合うWebサービス「FIRST STEP」を企画・開発し、同企画でマニフェスト大賞を受賞。2014年の東京都知事選挙では、家入かずま陣営のマニフェスト作成担当として、3万件のツイートから、120の政策を作成し、話題となった。