規制緩和で候補者の名前入り「のぼり」を使用可能に? (2014/11/6 政治山)
松島前法相の「うちわ」問題で注目された公職選挙法のグレーゾーンですが、選挙の際によく見かける旗、つまり「のぼり」の使用についても現場では見解が分かれています。今国会では「のぼり」等の使用方法や選挙カーの規制について論じられていますが、その内容について選挙カープランナーの若狭侍郎氏に聞きました。
「のぼり」と「選挙カー」が規制緩和の見込み
――今の臨時国会ではどのような見直しが検討されているのでしょうか?
「実際に、今後の政治活動と選挙運動に関わってくる可能性があるのは大きく2つあります。
1つは政治活動時(主に選挙期間前)における「のぼり」の解禁です。これに関しては「今までもOKではないか」という声も挙がるかと思いますが、実は二連旗など細かい規制があり、先日論議された「うちわ」問題に似たようなところがあるのですが、実際のところはかなりグレーの部分も多かったと思います。
今回この点が緩和されると、街頭演説の場所において候補者(予定者、以下同じ)の氏名等が記載されたのぼりを使用することができます。また候補者のポスターや看板の掲示も可能となる見通しです。
2つ目は選挙運動用自動車(選挙カー)に関する規制の緩和、簡素化です。今まで選挙カーに関しては公職選挙法と道路交通法の2つの法律が密接に関わっていました。例えば、サンルーフが付いている車両は禁止、8ナンバー車両は禁止などがありました。
今後の車種制限は「乗車定員10人以下かつ車両重量5トン未満の自動車」、いわゆる普通免許(平成19年道路交通法改正後の現行区分)の範囲で運転できる車両と簡素化される見通しです」
政治への関心は、身近な候補者と分かりやすい選挙から
――候補者と有権者、それぞれにどのようなメリットがあるのでしょうか?
「今回の法改正によって、候補者と有権者双方にメリットがあると思います。候補者側のメリットは名前の入ったのぼり、選挙カーなどを駆使して、自分の名前や政策をアピールできる機会が増えると思います。
また投票する側にとっても誰が話しているのか、どのようなことを訴えているのか、広告物、展示方法がしっかりしている候補者ほど分かりやすい内容になると思います。
今後の街頭演説のテーマは「いかに市民の関心を惹きつけることができるか」だと思っています。騒音に近い音で、何かの反対運動でもしているような演説をしている姿を見て、市民が足を止めて共感するとは思えません。
街頭演説も、1つのイベントのような演出や仕掛けが必要になってくると思います。約6割が無党派層や投票したい政党がないと言っているなかで、いかに関心を惹きつけられるか、これが1つの課題だと考えています」
――今後、選挙カーはどのように変わっていくべきなのでしょうか?
「私は選挙カーのイメージを変えたいと思っています。かわいい車、思わず振り返ってしまう車、候補者が目立つ車など、パレードに出てくるような車両が選挙期間だけ走っていたら振り向くと思いませんか。今後の選挙カーのポイントは「魅せる、聴かせる車」だと思います。
これをきっかけとして足を留め、演説を聴く機会が増えれば、選挙に対する関心が高くなり投票率も上がるでしょう。ルールとモラルを守り、新しい時代の選挙活動にスタイルチェンジできるかが、今後のやるべきことかと考えています」
- 【取材協力】
選挙カープランナー 若狭 侍郎(ワカサ ジロウ)
輸入車ディーラーを経て一転、議員秘書として数多くの選挙に携わり、現在株式会社グリーンオート勤務。国政選挙使用台数200台以上の実績があり斬新な選挙カーのスタイルは国会議員をはじめ利用者の支持を得ている。