政治から読み解く【経済と日本株】自民党河野氏:財政再建に関する骨太の方針がいよいよ議論のテーブルに 株式会社フィスコ 2015年6月11日
自民党の河野衆議院議員は、税収弾性値の見方について言及している。河野議員は行革本部は、経済が1成長+B15:B41すれば、税収も1伸びる、つまり弾性値は1を基本と考えていると紹介しているが、民間議員が指摘している1.2-1.3の弾性値の可能性について懐疑的な見方を示している。河野議員は消費税の弾性値は低いので、1980年代のような値にはなりにくいと考えてるようだ。
財政再建に関する骨太の方針がいよいよ議論のテーブルに載って
くる。
しかし、まだ、諮問会議の民間議員と自民党の行革推進本部で食
い違いがある。
その一つが、税収弾性値をどうみるか。
行革本部は、経済が1成長すれば、税収も1伸びる、つまり弾性
値は1を基本と考えている。
しかし、民間議員からは1980年代の1.2-1.3近い弾性値が可能だと
している。
そうだろうか。
1988年までは消費税はなかったのに対して、現在では消費税
が税収に占める割合は大きい。その消費税の弾性値は低いので、
1980年代のような値にはなりにくいはず。
1986年の所得税は最高税率70%で、5段階に分かれていた。少し所得が
増えると、税率の高い上の段階に達するブラケットクリープも起こり
やすかった。
2015年の所得税は最高で45%、7段階。
法人税率も大きく下がっている。
ということを考えると1980年代並の税収弾性値を当てにして
はいけない。
また、民間議員から、景気が良くなって企業の繰越欠損金が解消
され、法人税が増えるという説明もあるが、そもそも内閣府の経
済成長ケースはそれを織り込んでいる。
ということで、税収弾性値は1を基本として議論すべきだと思う
し、プライマリーバランスがゴールなのではなく、財政収支や国
債費、債務残高など、その外側もある。
経済が成長し、物価が上がれば、金利も上がり、金利負担も増え
る。
税収が上振れしたら、その分、早く財政収支の均衡に向けて動け
るわけで、取れていない狸を当てにして、財政再建をやるべきで
はない。
<ごまめの歯ぎしり 2015年6月10日号 税収弾性値を巡る議論>
株式市場では財政再建を絶対視、神聖的なものにする必要はない
との意見が多いようだが、社会保障制度を一定の水準で維持する
ためには、この問題を避けることはできない。
<MK>
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