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九州電力、送電設備の容量不足で再生エネの買い取り中断を検討  株式会社フィスコ 2014年9月22日

関連ワード : 九州 環境・エネルギー 

九州電力が、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)に基づく契約の受け入れを、一時「保留」として事実上管内全域で中断する検討を始めた。管内全域で中断すれば、大手電力で初となる。太陽光発電の導入が急速に進み、自社の送電設備の容量が足りなくなり、このまま新規買い取りを続ければ電力の安定供給に支障が出る恐れが出てきたためという。

2012年7月、固定価格買い取り制度(FIT)が開始され、民間業者や個人が太陽光や水力、風力、地熱、バイオマスなど自然エネルギーで発電した電気を、電力会社が最長20年間、国が決めた価格で買い取ることとなった。自然エネルギー普及のため買い取り価格は比較的高くなっているため、民間業者が相次いで太陽光発電などを導入している。

九電は昨年3月、既存の送電設備で接続可能な太陽光・風力発電容量の導入見通しを2020年までに300万キロワットから700万キロワットへ拡大した。しかし、土地が安く日照時間が長い九州は太陽光発電がより盛んになった上、買い取り価格が高めなことから、今年7月末の実績で既に385万キロワットに達するなど想定を上回っている。そのため、九電は7月下旬に壱岐など一部の離島で受け入れ中断を決めたが、その範囲が九州全域に広がる可能性が出ているのだ。

天候によって発電量が大きく変化する太陽光発電などをさらに大量導入するには、送電網など施設の増強のほか、発電量の増減が電圧や周波数に影響を与えないようにするための技術開発や対策が必要になる。

九電は発電出力の状況や電力需要のデータを分析し再生エネの受け入れ可能な方策を探る一方、月内にもFITを推進する国に対しても制度見直しを含めた対応策を求める意向だ。

国産エネルギーの有効活用や地球温暖化対策として優れた電源であることから、太陽光・風力・バイオマス・水力・地熱などの再生可能エネルギーの積極的な開発、導入を推進するための買い取り制度だったが、想定以上に順調で積極的な導入に買い取る側の電力会社の設備等の見直しを迫られているというのは何とも皮肉なものだ。事業者が多額の工事費用を自己負担していることもあるため、受け入れ中断には反発も予想される。国も電力会社も早急な対応が求められる。

<YU>

株式会社フィスコ
株式会社フィスコは、投資支援サービス等を提供するプロフェッショナル集団です。2013年4月19日に、インターネットを使った選挙活動を解禁する公職選挙法の改正に伴う新たなコンテンツ提供を発表し、各政治家の発言要約や影響分析のコンテンツ提供を開始しており、その付加価値向上に取り組んでいます。
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